備忘録
大分前に不動産登記申請の際に添付する印鑑証明書についてブログに投稿したことがありますが、再度、掲載
不動産登記令(16条)や不動産登記規則(47条、48条)から読み取るのはとてもむずかしいです・・・
法人については、会社法人等番号の提供で印鑑証明書の添付が省略できるようになっています(ただし実務では添付することが多いと思いますが)。なお、法人の代表者の資格証明書については(3カ月以内の資格証明書(代表者事項証明書など)を添付するというのは、ほぼなく)申請直前に法人の登記情報を閲覧・確認の上、会社法人等番号を提供するのが実務となっています。
不動産登記の添付書類としての印鑑証明書について
所有権に関する登記名義人が登記義務者として登記申請する場合、その義務者の印鑑証明書の添付が必要。申請書又は委任状に実印の押印が必要。
また、所有権以外の場合でも、登記済証・登記識別情報を添付・提供しない場合(事前通知か資格者代理人による本人確認情報の提供もしくは公証人による本人確認の認証が必要)は、登記義務者の印鑑証明書が必要となります(不動産登記法規則第48条、規則第47条)。
この印鑑証明書については、作成後3ヶ月以内のものでなければなりません。原本還付は不可。
もともと印鑑証明書が不要な抵当権抹消登記などで、登記済証もしくは登記識別情報の紛失や失念で、資格者代理人による本人確認情報を提供する場合、登記義務者の印鑑証明書が必要となるのはうっかりすると忘れがちになります。
それ以外の印鑑証明書については、新しい方が望ましいと思いますが、法律上は期間の制限はありません。例えば、相続登記に添付する遺産分割協議書に付する印鑑証明書(原本還付可)、利益相反の場合の議事録に付する印鑑証明書(原本還付不可)、承諾書(例えば、仮登記権利者の単独申請の場合に添付する仮登記義務者の承諾書)に付する印鑑証明書(原本還付不可)などについては期間の制限はありません。
法定の添付書類ではない上申書に付ける印鑑証明書(原本還付可)も同様。
だいぶ昔、司法書士同士でこのことを話したとき、ベテランの司法書士の先生でしたが、「便宜上すべて3ヶ月以内と案内するのが無難」というレベルではなく、遺産分割協議書に付する印鑑証明書以外は、すべて3ヶ月以内と思い込んでおられ、ちょっとびっくりしたのを覚えています。
街金なんかが、仮登記義務者(自宅を所有しているお金を借りた人)の承諾書と印鑑証明書を取っておいて、お金が返せなくなると、その書類で自宅に所有権移転請求権仮登記や抵当権設定仮登記を申請したりしていましたが、その印鑑証明書には期限がありませんから、こういうことができていました。
なお、サイン証明については期間の制限はありません(定款認証に用いる場合は、3ヶ月以内と言われることはありますが)。
商業登記(最近の改正など) - 司法書士とくの日記(ブログ)
追
登記識別情報・登記済証の添付の要否
1、成年後見人が被後見人の居住用不動産を処分するには家庭裁判所の許可が必要とされているが、その許可書の添付があれば、その登記申請には被後見人の登記識別情報(もしくは登記済証)の提供(添付)は要しない。
2、破産管財人が裁判所の許可を得て破産者の不動産を売却する場合
3、相続財産管理人が家庭裁判所の権限外行為許可を得て不動産を売却する場合
4、不在者財産管理人が家庭裁判所の権限外行為許可を得て不動産を売却する場合
も同様と考えられる。
(登記研究779号、カウンター相談)
4は否定する(登記済証必要とする)
質疑応答があったが、変更されたものと思われる。