司法書士とくの日記(ブログ)

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借金を滞納して「訴え提起」された後の相談

丹波篠山マラソンの参加後、

花粉の影響か、鼻炎がひどくなっています・・・

 

さて(話しは変わって)、

借金を滞納して「訴え提起」された

ということで相談に来られる場合があります。

 

この訴え提起されている借金だけ検討すればよいというケースは少なく、

他にも(多額の)負債があり(多重債務)、すべての負債の把握や、家計(可処分所得)、財産を確認しないと解決方法(方針)を示すことができないケースが多いです。

 

多重債務の解決方法として、任意整理(分割弁済の話合い)、(個人)民事再生申立(裁判手続き)、破産申立(裁判手続き)などがありますが、これらを説明して検討することになります。

 

訴え提起されている借金については、

具体的な反論ができるようなものは少なく(借金をして滞納しているのは間違いない。金利は利息制限法内、消滅時効は完成していない)、答弁書を出して、すこし時間をかせぐことしかできない場合が多いです。和解ができなければ、判決は出てしまいます。

 

相談者の中には、(まじめに)裁判期日には必ず行かなければならないと思われ、遠方の裁判所で仕事は休みを取り前泊のホテルまで予約していた方(行く気満々の方)がおられましたが、他にも負債があって和解できるような状況ではなく裁判所へ行ってもメリットはなにもありません(むしろ返済できないような額で和解が進んだり、債権者から勤務先等の情報を聞かれたりしてデメリットも考えられます)ので、(とりあえず)答弁書を出すだけにしてもらった方がいました。訴訟対応としてはあまりできることはありません。

 

判決を取得された後のリスクは、強制執行で、主に「給与差押え」と「預貯金の差押え」に注意することになります。

預貯金口座の差押えについての対策としては、預貯金口座の残高をなくしておく、年金や給与振込口座については、入金があったらすぐに出金し残高をなくす、ゆうちょ銀行や大手の銀行は避けておく(差押えリスクが少ないだろうと考えられる預金口座に変更)、などが考えられます。

債権者の相手方に勤務先が判明しているような場合は、給与差押えのリスクがありますので、至急、受任通知を出し、具体的な債務整理の手続きを進めていく必要があります。破産をするのであれば、破産申立てを急ぎ、早期に、破産手続開始・(管財事件でない場合)同時廃止の決定を得ることを目指します。破産手続開始・同時廃止の決定を得た後は、差押が禁止されますので安心です。(申立・決定前に)すでに給与差押えがなされている場合は、次の、前ブログのとおりになります。

(なお、破産申立から決定までの間の保全処分として強制執行の中止命令の制度があります)

(前ブログ)

破産申立の際、強制執行された場合(給与の差押えなどされている場合)

破産手続開始・同時廃止決定前にすでになされた強制執行については、これはしかたがないですが、破産手続開始・同時廃止決定後は差押えはできませんので、強制執行の裁判所に、免責決定が確定するまで中止してほしい旨の上申書(債権差押手続中止の上申書)を提出して、止めてもらい、免責(許可)決定が確定したら、強制執行が「失効」しますので、裁判所に免責確定を上申して(債権者、第三債務者あて)失効の通知をしてもらう(もしくは取消を求めていく)ことになります(債権差押失効の上申書、もしくは債権差押取消の上申書)。

免責が確定するまでは「中止」なので、給与を差押えられている場合は、給与の4分の1など差押えられている分はまだ受け取ることはできず、いったん勤務先で支払保留となり(勤務先でプールされる)、免責決定が確定した後、その保留となっている分(勤務先でプールされていた分)を受け取ることができるようになります。

破産申立(同時廃止)と強制執行(債権差押など) - 司法書士とくの日記(ブログ)

(個人)民事再生の場合も再生手続開始決定後は差押えが禁止され、破産と同様な感じになります。

なお、(開始決定前から)すでに給与差押えされていて、免責(許可)決定確定までの間に給与の支給がなければ生活ができないような場合は、差押範囲の変更申立てや、予納金は必要になりますが、管財事件にして管財人から執行裁判所へ債権執行取消の上申をしてもらい、免責前でも給与を受け取れるようにすることが考えられます。

 

このようなので、返済に困っている場合は、訴え提起や強制執行される前に(早い段階で)相談してもらった方がよいということになります。

 

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債務整理の講義録 平成26年

http://www.amy.hi-ho.ne.jp/sakai-siho/kougirokusaimu.pdf