司法書士とくの日記(ブログ)

司法書士業務、マラソン、その他

破産申立(同時廃止)と強制執行(債権差押など)

インフルエンザの予防接種を何年かぶりに受けました(調べると、前受けたのは、平成19年12月のようで、12年ぶりになります)。

記憶のあるインフルエンザ感染は、平成28年(2016年)3月の1回のみですが、受けているとすこし安心します。

篠山マラソン棄権 - 司法書士とくの日記(ブログ)

 

さて、破産申立(同時廃止)

 

すでに給与の差押えを受けている方や、

預貯金の口座の差押えを受けた方について、

破産申立てをする場合があります。

 

多重債務者で、このように一部の債権者から

給与の差押えや、預貯金の差押えなどの強制執行をされている場合、

破産申立てにつき、注意点があります。

 

財産がほとんどなく、同時廃止として破産申立をするケース

 

1、強制執行についても偏波弁済として扱われ、「管財事件」を指示される可能性があるか?

これは可能性としては「ある」ということです。

債務者本人が一部の債権者だけに弁済した場合(偏波弁済)、免責不許可事由として問題になったり、支払困難・支払不能の後でなされた場合は否認の対象として問題となったりします。http://www.amy.hi-ho.ne.jp/sakai-siho/hennpa.htm

債権者側で強制執行した場合も同様に否認の対象としては問題となります。財産を差し押さえられた上、管財指示で管財費用(20万円以上)を出さないといけない(裁判所への予納)となれば泣きっ面に蜂のような感じです。

しかし、否認の対象として問題となるのは、債権者が支払不能を知っていて(悪意で)、した場合になるので、通常は、司法書士や弁護士が受任通知を出した(支払困難を表明した)後の分になるようです。ですから、受任通知を出した後にされた強制執行については、その額が多額(20万円を超)になるような場合は(否認できるかも・・・ということで)管財指示になるかもしれません。給与の差押えの場合は、受任通知を出した後になされた分が多額(20万円を超)になるような場合は、管財指示になるかもしれません。

長年、給与が差押えされていて、相談に来られた場合、「偏波弁済」「否認権」・・・で、管財か?と心配になりますが、受任通知「後」の分が多額にならなければ同時廃止でいけるケースが多いです。

 

2、破産申立の際、強制執行された場合(給与の差押えなどされている場合)

破産手続開始・同時廃止決定前にすでになされた強制執行については、これはしかたがないですが、破産手続開始・同時廃止決定後は差押えはできませんので、強制執行の裁判所に、免責決定が確定するまで中止してほしい旨の上申書(債権差押手続中止の上申書)を提出して、止めてもらい、免責決定が確定したら、強制執行が「失効」しますので、裁判所に免責確定を上申して(債権者、第三債務者あて)失効の通知をしてもらう(もしくは取消を求めていく)ことになります(債権差押失効の上申書、もしくは債権差押取消の上申書)。

免責が確定するまでは「中止」なので、給与を差押えられている場合は、給与の4分の1など差押えられている分はまだ受け取ることはできず、いったん勤務先で支払保留となり(勤務先でプールされる)、免責決定が確定した後、その保留となっている分(勤務先でプールされていた分)を受け取ることができるようになります。

 

1例(参考)

債権差押手続中止の上申書
年月日
〇〇地方裁判所〇〇支部 債権執行係 御中
債務者・破産者 〇〇〇〇
電話

別紙当事者目録記載の当事者間における
〇〇地方裁判所〇〇支部平成〇〇年(ル)第〇〇〇号債権差押命令申立事件につき、
債務者である〇〇〇〇は、令和1年〇月〇日に破産手続開始の申立てをなし(〇〇地方裁判所〇〇支部令和元年(フ)第〇〇〇〇号)、
同年〇月〇日破産手続開始・廃止の決定を受けました。
標記事件(〇〇地方裁判所〇〇支部平成〇〇年(ル)第〇〇〇号債権差押命令申立事件)は、
上記破産手続きにおける破産債権に基づく強制執行であるので、
上記破産手続きにおいて、破産者に対する免責許可についての裁判が確定するまでの間、標記事件を中止されたく上申いたします。
添付書類 破産手続開始・廃止決定書

郵券は、最低84円切手2枚(債権者、第三債務者への通知用)裁判所に確認

 

1例(参考)

債権差押失効の上申書
年月日
〇〇地方裁判所〇〇支部 債権執行係 御中
債務者 〇〇〇〇
電話

別紙当事者目録記載の当事者間における
〇〇地方裁判所〇〇支部平成〇〇年(ル)第〇〇〇号債権差押命令申立事件につき、
債務者である〇〇〇〇が申立てた破産手続開始申立事件(〇〇地方裁判所〇〇支部令和元年(フ)第〇〇〇〇号)において、
免責許可決定が確定したので、上記差押命令は失効しました。よって、債権者及び第三債務者あてに債権差押命令の失効通知をしていただきたく上申いたします。

添付書類 免責許可決定書、確定証明書

郵券は、最低84円切手2枚(債権者、第三債務者への通知用)裁判所に確認

 

もしくは、取消まで求める場合は、

債権差押取消の上申書(例)
年月日
〇〇地方裁判所〇〇支部 債権執行係 御中
債務者 〇〇〇〇
電話

別紙当事者目録記載の当事者間における
〇〇地方裁判所〇〇支部平成〇〇年(ル)第〇〇〇号債権差押命令申立事件につき、
債務者である〇〇〇〇が申立てた破産手続開始申立事件(〇〇地方裁判所〇〇支部令和元年(フ)第〇〇〇〇号)において、
免責許可決定が確定したので、上記差押命令を取り消しされたく上申いたします。

添付書類 免責許可決定書、確定証明書

郵券は、最低84円切手3枚(債権者、債務者、第三債務者への通知用)裁判所に確認

 

自己破産の管財事件と同時廃止の振り分け基準 - 司法書士とくの日記(ブログ)

差押範囲変更の申立(生活保護費等の入金口座が差押) - 司法書士とくの日記(ブログ)

所有権留保 - 司法書士とくの日記(ブログ)

破産の非免責債権(租税等の請求権)について - 司法書士とくの日記(ブログ)

自動車引揚と自動車税 - 司法書士とくの日記(ブログ)

破産申立 - 司法書士とくの日記(ブログ)