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調停調書などによる相続登記(メモ)

メモ

家庭裁判所の「遺産分割調停調書(正本もしくは謄本)」や「遺産分割審判書(正本もしくは謄本)」で、不動産の相続登記の申請をする場合があります。

 

審判書の場合は、確定証明書も必要になります。もし、記載に誤りがあり更正決定をした場合、決定書と、その決定についての確定証明書も必要(なお、審判の即時抗告期間は2週間ですが、更正決定の即時抗告期間は1週間)。

 

この家庭裁判所の調書や審判書がある場合、通常、裁判所の手続きで、被相続人や死亡年月日、相続人は確定されているので、相続証明書としての戸籍等は不要になります。

 

一般的に、相続登記に必要となる書類は次のとおり

・「遺産分割調停調書(正本もしくは謄本)」や「遺産分割審判書(正本もしくは謄本)」+審判書の場合は確定証明書

・取得(相続)する方の住所証明書(住民票など)

・登録免許税計算のため不動産の評価額の判るもの(評価証明書など)

調書や審判書に取得(相続)する方の住所が記載されていても、その方の住所証明書(住民票など)は(なぜか)別途、必要になります。

 

それにプラスして

もし、調書や審判書に記載の被相続人の(最後の)住所」が、「登記簿上の住所」と異なる場合は、それ(住所の沿革)を証明する除票や戸籍の附票が必要となります(住所が同じ場合は不要)。

(登記研究202号)「・・・なお、登記名義人の表示と被相続人の氏名又は住所が相違する場合には、その同一を証する書面として、住民票除票の抄本又は不在証明等の添付をも要します。」

もし、証明書が期間経過で破棄されているなどで、被相続人の登記簿上の住所(調書や審判書に記載の被相続人の住所とのつながり)が証明できない場合はどうするか?

通常の相続登記と同じ問題が生じてきます。

被相続人との同一性(1) - 司法書士とくの日記(ブログ)

被相続人との同一性(2) - 司法書士とくの日記(ブログ)

登記簿上の住所が被相続人の本籍と同じであればOK

不動産の登記済証(権利証書)があればOK

その他・・・

 

しかし・・・(登記簿上の住所が)証明できない場合でも、 

調書や審判書には、カッコ書きで「登記記録上の住所・・・」が記載されていることが多く、このように調書や審判書に「登記記録上の住所」が記載されている場合は、(期間経過の破棄で証明できなかった場合ですが)証明なしで、(その他の書類も付けずに)登記ができたことがあります。家庭裁判所の調書や審判書の場合は、法務局で、比較的、柔軟に対応してもらえることが多いです。「不在籍不在住証明だけつけて」と対応してもらったこともあります。ただし、おそらく、裁判所では、ただ単に(最後の住所と異なるから)登記簿上の住所を記載しただけで、同一性を証明書などで確認した訳ではないとは思いますが・・・

しかし、この、登記簿上の所有者と被相続人との同一性ですが、大前提であり、もし、これがこけると(他人の財産を分割していたことになるので)慎重にする必要はあると思います。

 

遺産分割の調停や審判の場合は、「登記手続をする」「登記手続をせよ」という登記手続条項は必要なく、「〇〇が取得する」という通常の遺産分割協議と同様の文言で大丈夫です(相続を原因とする単独申請)。ただし、すでに法定相続での相続登記がなされている場合(共同申請が必要な場合)は、「〇〇及び〇〇は、〇〇に対し、別紙遺産目録記載の不動産につき、本日付け遺産分割を原因とする各持分の全部移転登記手続をする」などの登記手続条項が必要となったりします。

他の相続人に代償として金銭を支払う場合(代償分割の場合)、(「〇〇〇万円を支払うのと引き換えに取得する」など反対給付が条件となっているような文言では問題が生じるかもしれませんので)「〇〇が取得する。その代償として〇〇〇万円を支払う・・・」のようにします(調停調書では通常、このようになっています)。これであれば、取得と代償金の支払は別となり、代償金の支払の有無に関係なく登記することができます(この辺は通常の遺産分割協議と同様に考えることができます)。

 

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