司法書士とくの日記(ブログ)

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被相続人との同一性(2)

平成29年3月7日不登第51号照会
平成29年3月23日法務省民二第174号回答
平成29年3月23日法務省民二第175号通知
について


平成29年3月7日不登第51号照会で、
不動産の権利証書(所有権の登記済証)を添付すれば、
他の書類(上申書等)は不要という回答がなされています。
(平成29年3月23日法務省民二第174号)
前ブログ
被相続人との同一性(1)
http://d.hatena.ne.jp/tokucyan-siho/20170513


と理解していたが、よく読むと少し違うようである。


平成29年3月23日法務省民二第174号回答
平成29年3月23日法務省民二第175号通知の内容
以下


被相続人の同一性を証する情報として住民票の写し等が
提供された場合における
相続による所有権の移転の登記の可否について


相続による所有権の移転の登記(以下「相続登記」という。)の申請において,
所有権の登記名義人である被相続人の登記記録上の住所が
戸籍の謄本に記載された本籍と異なる場合には,
相続を証する市区町村長が職務上作成した情報(不動産登記令別表の22の項添付情報欄)
の一部として,被相続人の同一性を証する情報の提出が必要であるところ,


当該情報として,


住民票の写し
住民基本台帳法第7条第5号,第12条。
ただし,本籍及び登記記録上の住所が記載されているものに限る。)


戸籍の附票の写し
(同法第17条, 第20条。ただし, 登記記録上の住所が記載されているものに限る。)


又は


所有権に関する被相続人名義の登記済証
(改正前の不動産登記法第60条第1項)


の提供があれば,
不在籍証明書及び不在住証明書など他の添付情報の提供を求めることなく
被相続人の同一性を確認することができ,当該申請に係る登記をすることができる。


以上


1、登記簿上の住所と戸籍記載の本籍とが異なる場合が前提
(登記簿上の住所と戸籍記載の本籍が同じであれば同一性あり
とされる)


2、次の書類のどれかがあれば同一性はOK
(1)登記簿上の住所が記載された除票(本籍の記載要)
(2)登記簿上の住所が記載された戸籍の附票(除附票含む)
(3)所有権に関する被相続人名義の権利証書(登記済証)
ということは、権利証書(登記済証)があれば、除票や戸籍の附票
も不要ということになる。


3、上記のどれかの書類が1点でもあれば、他の不在籍不在住証明書や、
相続人全員の上申書などの書類は不要


1の登記簿上の住所と戸籍記載の本籍とが異なる場合が前提なので、
登記簿上の住所と戸籍記載の本籍が同じ場合は同一性ありということで、
2のような書類は不要ということになる。


今まで、
本籍と登記簿上の住所が同じケースというのは、経験上少なく、
(住居表示と地番という相違もあり)
必ず、除票や戸籍の附票で同一性を証明するのを第一としてきたが、
この回答でいくと、
本籍と登記簿上の住所が同じ場合、それだけでOK
そして、所有権に関する被相続人名義の権利証書(登記済証)があれば、
除票や戸籍の附票はわざわざ取得しなくてもよいということになるな。



・・・といっても、
まず第一に除票や戸籍の附票で同一性を証明するという
のが確実なので、この実務は変えないだろうと思う。