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和解調書の住所と不動産登記

和解調書の住所と不動産登記


メモ
和解調書の記載
原告 本籍 住所A 甲(妻)
被告 本籍 住所C 乙(夫)
原告と被告は本日離婚する。
被告は原告に対し、別紙物件目録記載の不動産につき、
財産分与を原因とする所有権移転登記手続きをする。
とある。


乙の登記簿上の住所はCではなく、Bになっている。


乙が、住民票上の住所をCへ移しておらず、
住民票住所がまだ登記簿上の住所Bのままである場合、
(住民票の移動がないため)
B→Cへ住所変更登記(名変)をすることはできず
この和解調書では妻甲が単独で所有権移転登記を申請することができません。
和解調書の住所Cは住民票にも登記簿上にも記載のない住所になります。
登記は(通常)形式審査で、乙の住所が和解調書上Cになっている場合、
登記簿上の乙と和解調書記載の被告乙とが、
同一人物であると判断されないからです。


この和解調書に基づいて
妻の甲が単独で所有権登記申請するためには、
和解調書に乙の住所として「住民票上の住所B」を記載してもらう
必要があります。


登記申請に、乙の本籍記載の住民票や戸籍附票などを
添付したらどうかとも思いますが、先例がないためダメなようです。
(この辺はなんとかならんのか?と思いますが・・・)


裁判所で、和解調書につき、
乙の住所をBとする、
もしくは住民票上の住所Bである旨の更正決定をもらい、
和解調書正本と、その更正決定書、
さらに更正決定についての確定証明書
を添付して登記申請することになります。
(確定証明書まで要求されると取得するのに時間がかかり、
他の登記が入る危険性が高まってしまいます)
なお、和解調書の確定証明書は不要です
(というか和解で成立なので別途確定ということがない)。
更正決定についての確定証明書が必要になります。


「登記簿上の住所B」を追記(Cと併記)するような
更正決定では、法務局で、BからCへの住所変更登記が
必要ではないか
とされてしまいますので、避けた方がいいと思います。


このようなことが必要になってきますので、
和解調書を作成する段階で、登記ができるように
しておくことは重要です。
ただ、このケースでは、乙が住民票上の住所をCへ移転
してくれれば(妻が代位で住所変更登記ができ)
問題はなかったのですが・・・