司法書士とくの日記(ブログ)

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降って湧いたような遺産(不動産)

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後見業務をしていると、

遺産分割の協議に、

成年後見人等(代理権のある保佐人、補助人含む)の法定代理人として関与することがあります。

 

通常、成年後見人等の法定代理人が関与する場合、

本人の法定相続分は確保する(しないといけない)ことになっています。

 

しかし、いろいろな事情で、本人の法定相続分の確保がむずかしい、

代償分割や換価分割が困難なケースはあります。

形式的に法定相続分にこだわっていると、遺産分割ができない、進まない・・・

この辺は、とても手間がかかりますが、柔軟な対応が必要となったりします。

 

お亡くなりになった被相続人は、

何十年も前に亡くなった方で、

遺産分割が必要となっている遺産は

(田舎の)自宅(古い空家・宅地)や田、畑などの不動産のみ

(遺産分割未了で、相続登記がされないままになっている不動産)

 

近くに住んでいるなどで、関係のあった相続人の一人である親族が、

やむを得ず固定資産税の支払や不動産管理をしていることがあります。

そして、その方が相続登記をしようと(司法書士に依頼して)調べると、

 

まったく音信不通で、

これまで関与のなかった相続人が出てくる(発見される)場合があります。

特に子がおらず、兄弟姉妹(甥姪含む)相続の場合など・・・

その方に成年後見人等が就任しているケース

その成年後見人に連絡を取ると、「法定相続分は代償で・・・」という話になります。

(当方がその成年後見人の立場でもそうなります)

 

当方がその成年後見人の立場の場合

まったく資産価値のない不動産(負動産)であれば別ですが(負担ばかりで資産価値がない場合は、「どうぞ、どうぞ取得してください。協力します」で終わります)、

そうとも言い切れない中途半端な不動産の場合、困ります。

 

(相続発生も知らず、被後見人等の本人にとっては遠く離れた利用価値のない不動産)

先祖代々の不動産なので処分はしない、

仮に売却で換価するにしても、買い手が見つかるかどうかわからない、

とても時間がかかる、

このまま管理を負担するのであれば、その管理している相続人名義にしたい、

ただし、(被相続人の世話も含め)これまで負担ばかりだったので、代償まではできない(したくない)。

 

このような場合

 

形式的に法定相続分にこだわると、逆に、

・・・それでは

法定相続分についての、

これまでの固定資産税を含む管理費用や、

これからの管理責任・管理費用を負担してくれるのか?

 

という話になってくる・・・

 

これまでの事情、被相続人との関わり、

不動産の状況、法定相続分の割合、他の相続人の意向など、

細かいところを確認して、

家庭裁判所へも説明がつくように)

検討していくことが必要となってきます。

ケースによっては、代償等なしで、その人名義にすることに合意することもあり得ると思います。

(なまじっか法定相続分があるばかりに)利益はないのに、とてもしんどい思いをすることがあります。

兄弟姉妹の相続は、被相続人(関与の親族)とまったく音信不通で関与がない場合、何年かしたら権利を失うぐらいにしてもよいのに、と思ったり・・・(遺産分割に時効はありません)

渾身の(力を込めた)遺言書 - 司法書士とくの日記(ブログ)

 

ちなみに、成年後見人等が法定代理人として遺産分割協議書に押印する場合の、印鑑ですが、不動産登記に関しては、個人の実印で、個人の印鑑証明書添付となり、後見等の登記事項証明書に事務所記載の場合は、事務所と住所が判る司法書士会や弁護士会発行の登録事項証明書が必要となります。もしくは家庭裁判所に印鑑の登録をしている場合(私はしたことがありませんが・・・)は、その印鑑を押印して裁判所発行の印鑑証明書添付でも大丈夫です。