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近傍類似地(私道などの登録免許税)

司法書士ネタ


不動産の移転登記の際の登録免許税の計算は、
固定資産税の評価額
(固定資産課税台帳に登録された不動産の価格)
を基準として計算されます。
(評価額×税率=登録免許税)


でも、公衆用道路(私道)なんかは
固定資産税が非課税で評価額が出ていません。


固定資産税は非課税だけれども
移転登記する際には、
(宅地部分はもちろんですが)私道部分にも
きちんと登録免許税が課税されます。


では、評価額がないので、この評価をどうするか。


公衆用道路(私道)、ため池、池沼、用悪水路で
評価額がないもの(固定資産税は非課税のもの)については、
近傍類似地・隣接地の評価額に100分の30を乗じて
計算した額を基礎とする。ことになっています。
(近傍類似地・隣接地の評価額×100分の30×税率=登録免許税)


認定基準(神戸地方法務局)には、
公衆用道路(私道)などの場合は、
隣接地のうち低い評価額の土地の100分の30と書いてあり、
正確には「隣接地」ですが、なぜか、
隣接地より「近傍地とか近傍類似地」と言う方が多いように思います。


公衆用道路(私道)、ため池、池沼、用悪水路以外で、
評価額のない土地については「近傍類似の土地」を基礎とする
と書いてあります。
これが影響しているのか?
「近傍宅地」の100分の30という言い方をする場合もあります。
これは下記のパターン4の影響か?
正確には「隣接地のうち低い評価額の土地」になります。


それでは、この近傍類似地・隣接地は
だれが決めるのかですが、
これは法務局が指定したり、市役所が指定したりと
管轄法務局によって異なってきます。


パターン1
西宮支局・伊丹支局の場合
法務局に
当該土地の評価証明書を提出し
(評価額なしのものになります)、
「近傍・類似土地等評価額確認申出書」
という書類に必要事項を記入し申請すれば、
法務局が平方メートル単価を出してくれます。
私が経験したものでは、なんとすでに100分の30
にされた平方メートル単価が出てきたことがあります。
(これになる前は市役所が近傍土地の評価証明書を
出してくれていました)
この法務局の近傍・類似土地等評価確認書では、
きちんと、「近傍類似土地」の平米単価か、
「隣接土地」の平米単価か区別されています。
公衆用道路の場合は「隣接土地」の平米単価になります。


パターン2
尼崎支局・東神戸出張所の場合
市役所が
登記に利用するということであれば、
その非課税の土地の評価証明書といっしょに
近傍類似地の評価証明書を出してくれます。
(公衆用道路(私道)などは、本当は、
正確な基準(神戸地方法務局)としては「隣接地のうち低い評価額の土地」ですが、
尼崎市の場合は評価証明書には近傍類似地と書いてあったりします。芦屋市は近傍地、神戸市は近隣地になっています)
隣接地と近傍類似の土地 - 司法書士とくの日記(ブログ)


パターン3
大阪市など)
法務局で近傍類似地を指定、
法務局で、市への交付依頼書を発行してもらい、
それを市役所へ持って行き、
市役所で近傍類似地の評価証明書を取得する方法
があります。
(法務局で交付依頼書を発行してもらい、
市役所で証明書を取得する場合は手数料が無料になります)


近傍類似地の評価証明書ではなく、
市の方で近傍類似地から計算をして、
その不動産(公衆用道路)自体の
仮評価証明書を出してもらえる場合もあります。


このように法務局により異なるので
なじみのない法務局に申請する場合は
確認する必要があります。


パターン4
登録免許税の計算は、当初の見積りの時に
必要になることが多いので、
私道については、便宜上、いっしょに移転する
(隣接する)宅地を近傍類似地・隣接地として計算することがあります。


このように、
公衆用道路(私道)については、
いっしょに移転する宅地の評価額を利用する
こと(いっしょに移転する隣接する宅地を
近傍類似地・隣接地として扱うこと)ができる場合が多いと
思いますが、


パターン2尼崎支局のように市役所が必ず近傍類似地の
評価証明書を出してくれるところは、原則これに基づくことになります。
過去に、
(パターン2の法務局で)市役所で評価証明書を取らず、
固定資産税の納税通知書の課税明細書を添付し、
いっしょに移転する宅地を隣接地・近傍類似地として
計算して申請したところ、補正になったことがあります。
あらためて市役所で評価証明書を取得して
(近傍類似地の評価証明書もいっしょに出してくれます)、
補正しました。
この時は、すこし登録免許税が安くなったので、
還付の手続きをしました。


パターン1やパターン3の法務局の場合は
(法務局の方で近傍類似地を指定しなければならず、
事務の手間がかかるのが原因かどうかわかりませんが)、
公衆用道路(私道)については、
いっしょに移転する宅地の評価額を利用する
こと(いっしょに移転する隣接する宅地を
近傍類似地・隣接地として扱うこと)でOKとなることがほとんどです。
というより、できるだけこれで計算してほしいような感じを受けます。



神戸市については、前は道路(法348-2-5該当)の近隣地の評価を出してくれていましたが、
最近は、(隣接する)宅地部分といっしょに交付する場合は、
この宅地部分を隣接地(近隣地)として計算するというのを前提に出してくれなくなりました。
法務局での登録免許税の計算はこれでOKになっています。


公衆用道路(私道)などの登録免許税の計算は
すこしややこしいです。
登録免許税も非課税にすればよいのに・・・

注意
登記の登録免許税の計算(備忘録) - 司法書士とくの日記(ブログ)

(評価証明書と公課証明書)
不動産の「評価証明書」と「公課証明書」 - 司法書士とくの日記(ブログ)

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