司法書士とくの日記(ブログ)

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法定相続情報一覧図の申出ができる人(遺言執行者?受遺者?)

法定相続情報一覧図の保管及び交付の申出

この申出ができる人は、「法定相続人」(相続人の地位を相続により承継した者も含む)になります。

法定相続人ではない「遺言執行者」や「受遺者」は申出人になることができるか?

 

代理人として申出できるのは、法定代理人(委任状不要)のほか、民法上の親族、資格者代理人(弁護士、司法書士土地家屋調査士、税理士、社会保険労務士行政書士海事代理士弁理士)になります。法定相続人の法定代理人は、その地位が証明できれば当然自ら代理人として申出することができます。民法上の親族や資格者代理人については、法定相続人(もしくは法定代理人)からの委任が必要になります(委任状を添付)。

この法定代理人とされているのが、当初、親権者、未成年後見人、成年後見人、(財産の管理・処分など相続手続に関する)代理権が付与された保佐人や補助人、相続財産管理人、不在者財産管理人で、遺言執行者は含まれていませんでしたが、後で遺言執行者も法定代理人として申出できるようになりました(令和2年 法定相続情報証明制度の創設に伴う質疑事項集 問43、44)。

(法定相続人ではない)「遺言執行者」は、(遺言執行者であることが判る遺言書等を添付することによって)法定代理人として申出することができます(法定相続人からの委任状は不要)。

法定相続人でない「受遺者」はできないと思われます(包括受遺者は、民法で「相続人と同一の権利義務を有する」となっていますが、不動産登記規則247条で、申出ができるところの相続人は、戸籍で確認できる者に限るとなっていますので・・・)。

 

数次相続が発生している場合

被相続人ごとに、法定相続情報一覧図の申出が必要になります。

被相続人ごとなので、その法定相続人の中で、申出する人がいない場合は、申出することができません。

例えば、

亡A

の相続人 子のBとC

その後、Bが亡くなり

亡Bの相続人 DとE

依頼者(相談者)がCの場合、

亡Aの法定相続情報一覧図の申出は、依頼者のCからできますが(司法書士がCから委任を受けてできる)、

亡Bの法定相続情報一覧図の申出は、Cからはできず(Bの相続人ではないから)、(司法書士が代理でする場合)亡Bの相続人であるDか、もしくはEから委任を受ける必要があります。

(なお、この例で、DやEは、亡Bの分はもちろんですが、(相続人Bの地位を相続により承継した者として)亡Aの法定相続情報一覧図の申出もすることができます)

これは、当たり前のような感じですが・・・

例えば、亡A名義の不動産などの遺産相続について、司法書士がCから依頼(委任)を受けて相続人調査をする場合、(戸籍を取得して)亡Bの相続人まで調査することができます。

しかし、その後、亡A名義の不動産などの遺産につき、CDEが遺産分割協議をしてCが取得するとなった場合で、司法書士がCから委任を受けて相続手続をする場合、亡Aの法定相続情報一覧図の申出は(Cから委任を受けて)できますが、亡Bの法定相続情報一覧図の申出は、依頼者でないDもしくはEから申出委任してもらわないとできません。ですからDもしくはEの委任がない場合、(亡Bの法定相続情報一覧図の写しを取得することができず)その分は戸籍を添付することになります。

特に、数次相続が何件も生じている複雑(怪奇)な相続の場合、できればすべての被相続人の相続について法定相続情報一覧図の写しを取得したいと思っても、この申出人の関係で、法定相続情報一覧図の写しが取得できないところが生じ、かなりの量の戸籍類を添付(提出)せざるを得なくなることがあります。

 

法定相続情報一覧図には、申出人の氏名を記載する(記名する)ことになっていますので、法定相続情報一覧図に載っている相続人の場合は氏名の次にカッコ書きで申出人と記載します(氏名(申出人))。申出人が法定相続情報一覧図に載っている相続人でない場合(相続人の地位を相続により承継した者から司法書士が委任を受けた場合など)は、次のように作成者の上あたりに記載しておけばよいと思います。

申出人 〇〇〇〇

作成日 ○年○月○日

作成者 事務所

氏名 司法書士 〇〇〇〇 印

法定相続情報一覧図に載っている特定の相続人の法定代理人成年後見人など)が代理人として申出する場合は、その特定の相続人が申出人になりますが、遺言執行者の場合は、特定の相続人の代理人ではないので、(遺言執行者自身が作成者とならない場合)相続人の地位を相続により承継した者と同様、(おそらく)申出人として遺言執行者の氏名を記載することになるのではないかと思われます(法務局に確認要)。

 

作成日 ○年○月○日

作成者 住所

氏名 (申出人)遺言執行者 〇〇〇〇 印

 

遺言執行者から司法書士が委任を受けた場合

申出人 遺言執行者 〇〇〇〇(遺言執行者の氏名)

作成日 ○年○月○日

作成者 事務所

氏名 司法書士 〇〇〇〇 印

法定相続情報一覧図の写しの相続関係図 - 司法書士とくの日記(ブログ)

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