司法書士とくの日記(ブログ)

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棚からぼたもちは受け取らない?

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嫁さんが、2回目のコロナワクチンを接種しました。接種した当日の夜は「心臓がバクバクする」と言って、寝付けなかったようですが、翌日はけろっとして発熱もなく大丈夫でした。私は発熱で2日ぐらい苦しみましたので、やはり副反応は人によってかなり異なるようです。

 

さて(話しは変わって)、

遺産が(多額の)預貯金で、そして相続人不存在・・・

配偶者や子はおらず、生前関与の親族がいない方で、数百万円の預貯金(遺産)を残して亡くなった方がいましたが(負債は特になし)、相続人はまったく縁(関係・関与)のなかった甥や姪で、その相続人である甥や姪が全員、相続放棄家庭裁判所へ申述)をしましたので、「相続人不存在」になった方がいます。

また、推定相続人がおらず、唯一の親族である「従妹(いとこ)」に(すべての財産を)遺贈するという遺言を残して亡くなった方がいましたが、多額の預貯金の遺産があったにも関わらず(負債は特になし)、その受遺者である従妹(いとこ)が遺贈放棄(家庭裁判所へ申述)をしましたので、同様に「相続人不存在」となりました(遺言者の希望通りにはなりませんでした)。

まったく縁(関係)がなかった、もしくは縁(関係)が薄かったので、(棚からぼたもちのような)財産を受け取って関わりになるのを嫌がったのだと思われます。

その遺産を管理している者がいる場合、相続放棄や遺贈の放棄をされてしまうと、遺産を引き継ぐ者がいなくなりますので、とても困ります。

なんで放棄するかな・・・と思ってしまいます。

多額の預貯金(積極財産)があるのに(負債なし)、相続人全員が相続放棄、受遺者が遺贈放棄をして、遺産を引き継ぐ者がいなくなった場合、どうなるか?

その場合は、家庭裁判所へ(相続人不存在として)相続財産管理人選任申立が必要となります。

相続財産管理人選任申立があり、家庭裁判所で相続財産管理人が選任、手続がされた場合は、(もし特別縁故者*からの相続財産分与申立がある場合は、その審判、分与を経て)最終的に残った遺産については、国庫に帰属することになります。

誰が、相続財産管理人選任申立てをするのか?

亡くなった方に(生前)成年後見人が就任していたり、遺言の場合で(別に)遺言執行者がいたり、特別縁故者がいる場合などは、その者から申立されることになると思いますが、申立する人がいない場合は、遺産の預貯金は、そのままになってしまいます(休眠預金)。

(もし、負債がある場合は、その債権者が債権回収のため申立をすることはありますが)通常、預貯金(遺産)の金融機関が、相続債務者(債務者になります)として相続財産管理人選任申立をすることはありません。

 

申立された場合は、最終的には国庫に帰属。

申立されず休眠預金になった場合でも、現在は、休眠預金等活用法*という法律があり、最終的には公益的なものに利用されることになると思われます。

 

特別縁故者

特別縁故者に対する相続財産の分与)民法第958条の3 前条の場合において、相当と認めるときは、家庭裁判所は、被相続人と生計を同じくしていた者、被相続人の療養看護に努めた者その他被相続人と特別の縁故があった者の請求によって、これらの者に、清算後残存すべき相続財産の全部又は一部を与えることができる。

2 前項の請求は、第958条の期間の満了後三箇月以内にしなければならない。
 
*休眠預金等活用法 「民間公益活動を促進するための休眠預金等に係る資金の活用に関する法律」(休眠預金等活用法)が平成30年1月1日に施行されています。この法律は、休眠預金等に係る預金者等の利益を保護しつつ、休眠預金等に係る資金を民間公益活動を促進するために活用することにより、国民生活の安定向上及び社会福祉の増進に資することを目的としています。平成21年1月1日以降の取引から10年以上、その後の取引のない預金等(休眠預金等)を社会課題の解決や民間公益活動の促進のために活用することができます。