左腕の五十肩の痛みはひどくなってきました・・・
さて、
法務局への自筆証書遺言の保管制度 - 司法書士とくの日記(ブログ)
自筆証書遺言の法務局への保管制度について(前ブログに追加)
保管が強制されている訳ではない。
法務局に保管してもらう手続きを取ると、紛失防止、法務局に形式面のチェックをしてもらえる、家庭裁判所の検認が不要、(死亡後)「遺言書情報証明書」を発行してもらえる、などのメリットがある。
法務局に保管してもらう自筆証書遺言は、様式が指定されている。
これは、(原本も保管されますが)提出された自筆証書遺言をスキャンして、法務局のパソコンにデータとしても保存するために、様式が決められたということです。
ただし、指定された様式といっても、
A4サイズの用紙に上下、右左にすこし余白を設けて、というぐらいで、
あとは、(縦書きでも横書きでも)自由に書いてかまわない。
(余白は、左2センチ以上、上右は5ミリ以上、下は1センチ以上)
ページ数の記入が必要だが、もし、書いてない場合でも、保管申請の際、指摘されて、その場で記入することになると思う。
もちろん、民法で定められた要件は必要。
全文、日付、氏名は、すべて自書し、押印。ただし、財産目録については自書でなくてもかまわない(そのページに署名、押印は必要)。など
遺言者が生きている間は、遺言者自身が、その保管された遺言を閲覧したり、撤回したりできるが、推定相続人は何もできない。
遺言者の、モニターによる遺言書データの閲覧は、遺言書保管所とされているどこの法務局でも可能。もちろん、遺言書原本の閲覧は、その保管されている法務局のみ。
成年後見人に就任して、その被後見人の方が、(判断能力が衰える前になりますが)信託銀行に「遺言信託」をされていることがあります(公正証書遺言が作成されている)。成年後見人として、財産管理、処分の上で、その遺言の内容を知りたいと思うことがありますが(被後見人自身は、遺言をした認識がないことも多く、被後見人の自宅などで、その公正証書遺言が見当たらないことが多い)、信託銀行は絶対に教えてくれません。公証人役場での公正証書遺言の検索システムの利用も、請求できるのは、生前は本人だけ(成年後見人でもできない)。(これと同じような感じ?で・・・秘密保持のため)相続人が、遺言が法務局に保管されているかどうかとか、その遺言の内容はどんなものか、を法務局に問合せできるのは、遺言者の死亡後(遺言の効力が発生した後)になります。
なお、法務局へ保管後、遺言者の住所が変わったなどの場合の変更の届出は、成年後見人がすることができます。成年後見人は、本人死亡後は(基本、権限がなくなり)財産引継ぎで関係するぐらいですが・・・
遺言者の死亡後、
相続人等は、法務局に、遺言書保管事実証明書や、(遺言の内容が判る)「遺言書情報証明書」の交付請求ができるようになる。
これは、遺言者の死亡後にしかできない。
法務局のパソコンにデータとして保存されているので、保管している法務局以外の、遺言書保管所となっている法務局へも可能。郵送請求も可能。
遺言書による、いろいろな相続手続きは、自筆証書遺言書の原本でするのではなく、この法務局から発行される「遺言書情報証明書」ですることになる。
(自筆証書遺言の原本は法務局に保管されたままで、死亡後50年間は保管されている。ちなみにデータファイルは150年保存)
「遺言書情報証明書」が重要で、法務局でこれを発行してもらい、いろいろな相続手続きに使うことができる。
相続人等が「遺言書情報証明書」の交付を受けたり、閲覧をした場合、
法務局から、(その請求した者以外の)遺言者の相続人全員や、受遺者、遺言執行者へ保管されている旨の通知がなされる。
よって、その請求をする場合、相続人全員が判る戸籍や住民票(または附票)の添付が必要。
家庭裁判所の検認は不要となっているが、このように、相続人等が「遺言書情報証明書」の交付を受ける場合、検認の際の添付書類とほぼ同様の、相続人全員が判る戸籍などを取得しなければならない。
(ただし、法務局から保管されている旨の通知を受けた相続人等が請求する場合は、すでに相続人全員が判明し、通知がなされているので、これは不要となる)
家庭裁判所の検認の場合は、家庭裁判所から相続人へ検認期日の通知がなされるが、この法務局からの(保管されている旨の)通知は、相続人以外に遺言書に記載の受遺者や遺言執行者にも通知がなされる。
遺言をするのが当たり前になってくると、相続手続きは、法務局で発行される「遺言書情報証明書」と「法定相続情報一覧図の写し」でなされるのが一般的になるのであろうか?
追
それから、まだ、運用はされていませんが、遺言書保管の際に「死亡時通知の申出」というものができるようになっています。この申出をしておくと、遺言者が死亡したときに、法務局から、指定しておいた相続人、受遺者、遺言執行者などのうち1名に対して、遺言書が保管されている旨の通知をしてもらえます。市区町村役場のシステムと連携し、市区町村役場に死亡届出がなされると、それが法務局にも判るような仕組みをつくっていくようです。これがうまく運用できるようになれば、例えば、遺言執行者を指定しておけば、(法務局からの通知により)死亡の事実と遺言書の存在がすぐに、遺言執行者に判り、早く相続手続きができるようになります。下記追記あり
この辺はどうなのか(遺言執行者による相続登記申請) - 司法書士とくの日記(ブログ)
追
法務局保管の自筆証書遺言と比べ、
公正証書遺言のメリット
公証人に、遺言の内容のチェックまでしてもらえる(法務局は形式面のみ)。
2人が証人となり、遺言者の意思を確認して、公証人が作成するので、後で遺言が無効となったりするリスクが(とても)低い。
法務局保管の場合は、遺言者本人が必ず法務局へ出向いて行かなければならないが、公正証書遺言の場合、公証人が、本人のいる自宅や病院などに来て、手続きをしてもらうことが可能。
家庭裁判所の検認が不要というのは同じだが、公正証書遺言は、比較的すぐに登記などの相続手続きが可能(法務局保管の場合、相続人全員に通知をするので、その相続人全員が判る戸籍等を収集しなければならない)。
追
遺言書保管の際の「死亡時通知の申出」については、保管申請書に、「遺言書保管官が、法務局の戸籍担当部局から死亡の事実に関する情報を取得する」(これに同意する)となっています。法務局の遺言書保管官と戸籍担当部局との間で(連携)情報のやり取りで遺言者の死亡を確認し、死亡時、(指定された者へ)遺言書保管の旨の通知をするようです。