商業登記の話
他管轄へ本店移転登記をする場合、
登録免許税が(同一管轄の場合の倍にあたる)6万円かかる(旧本店管轄法務局に3万円、新本店管轄法務局に3万円)
依頼者曰く
(移転元か移転先か、どちらかもう少し安くならないか・・・)
任期満了しているのに選任決議を怠っていた場合で、
1年ぐらいしてから同じ人を再任決議(就任)した場合の登記
平成30年11月30日A退任
令和1年11月30日A就任
この間、権利義務承継として、Aは、そのまま代表取締役の地位にあったが(会社法第346条)、
登記簿上は、1年間、代表者不在のようなかたちになる(権利義務承継が公示されない)。
依頼者曰く
(なんで、令和1年11月30日重任で登記できないの?)
さて、本題(こまかい話)
商号変更の登記と、
取締役・代表取締役Aの重任の登記申請をする。
そして、商号変更をしたから、印鑑(改印)届出も「いっしょに」するケース
株主の氏名又は名称、住所及び議決権数等を証する書面(株主リスト)や
委任状(もしくは申請書)に押印する印鑑は、
新しく届出する新印鑑か、すでに届出している旧印鑑か、
どちらを押印するか?
これは、旧印鑑でもいけるようであるが、
法務局では印鑑(改印)届出がいっしょに(同時に)されている場合は、
この改印手続を先にするようで、
(いっしょに届出する)新印鑑で押印した方がよいと思われる。
前法務局に照会した際は、「新印鑑で」と回答があった。
法務局への照会(会社分割と商号変更) - 司法書士とくの日記(ブログ)
それでは、代表取締役Aの重任登記で、
商業登記法規則第61条第6項
(個人の実印押印、市区町村長作成の印鑑証明書添付をしなくてもよい)
の適用を受けるためには
株主総会議事録などに押印する印鑑はどちらの印鑑を押印するか?
これは、法律を読むと、
変更前の代表取締役が登記所に提出している印鑑
とあるので、
すでに届出されている旧印鑑だと思われる。
商業登記法規則第61条第6項
代表取締役又は代表執行役の就任による変更の登記の申請書には、次の各号に掲げる場合の区分に応じ、それぞれ当該各号に定める印鑑につき市区町村長の作成した証明書を添付しなければならない。ただし、当該印鑑と変更前の代表取締役又は代表執行役(取締役を兼ねる者に限る。)が登記所に提出している印鑑とが同一であるときは、この限りでない。
一 株主総会又は種類株主総会の決議によつて代表取締役を定めた場合 議長及び出席した取締役が株主総会又は種類株主総会の議事録に押印した印鑑
二 取締役の互選によつて代表取締役を定めた場合 取締役がその互選を証する書面に押印した印鑑
三 取締役会の決議によつて代表取締役又は代表執行役を選定した場合 出席した取締役及び監査役が取締役会の議事録に押印した印鑑
しかし、重任の場合は、
(同一人物だから)登記申請といっしょに提出された印鑑も含むとみて、
今回いっしょに届出する新印鑑でも適用ありとされている。
(参照)商業登記ハンドブック(第3版)395ページのエ
印鑑カードについて、
たまに
新商号にしたから印鑑カードも新しく
と言われることがあるが、
商号を変更しただけでは、印鑑カードは再発行してもらえません。
(印鑑届出書の「引き継がない」にチェックをしても無視されます)
そして、このケースは重任で、役職も人も変わる場合ではないので、
やはり、印鑑カードの再発行はないと思われます。
(棄損や紛失等で再発行したい場合は、印鑑カード廃止届出をした上、あらためて印鑑カード交付申請が必要)