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1例
親(平成25年死亡)からの相続で、
その子である兄弟姉妹の
ABCDEの5名が相続人である事案
今般、親の遺産(預金など)が発見され相続(遺産分割)が必要となった。
Aさんは、認知症状があり、
判断能力等の衰えがあるので、
財産管理の必要性から家庭裁判所で保佐人が選任されている
(ただし、遺産分割の代理権はない)。
Bさんも認知症状があり、
Cさんは、何年も前から音信不通になっており、
住民票住所に住んでおらず、行方不明になっている。
Dさんは、親が亡くなった後、
数年後に亡くなっている。
Dさん、平成29年死亡。
Dさんの相続人は、子一人甲だけであるが、
その甲さんは、Dさん死亡後、後を追うように亡くなっている。
甲さん、平成30年死亡。
親(平成25年死亡)→D(平成29年死亡)→甲(平成30年死亡)の順に亡くなっている。
甲さんには、妻子がなく、兄弟姉妹もいないので(直系尊属は全員死亡している)、
相続人不存在である。
このような場合、
親の遺産につき、
遺産分割(相続)する場合、どうなるでしょうか?
Aさんには保佐人が就いていますが、
その保佐人に遺産分割の代理権がない場合、
遺産分割はAさん本人がすることになります。
しかし、保佐人には同意権がありますので、
遺産分割につき保佐人の同意は必要となります。
Aさんが、(判断能力の衰えなどで自分でするのはむずかしいので)その保佐人に代理で遺産分割をしてほしいと思ったときや、
保佐人が本人に代わってした方がよいと考えたとき(本人の同意要)は、
家庭裁判所に、
その保佐人に遺産分割の代理権を付与する審判を求めることになります(家庭裁判所に、保佐人に対する代理権付与の申立をする)。
Bさんには成年後見人が就いていますので、
遺産分割は法定代理人である、その成年後見人がすることになります。
(もし、Bさんに成年後見人が就いておらず、認知症などで遺産分割する能力がない場合は、成年後見人の選任が必要となります)
もし、Aさんの保佐人と、Bさんの成年後見人が同一人物の場合、
利益相反しますので、
(後見等監督人が就いている場合を除き)
家庭裁判所へ申立により、
Aさんにつき別の臨時保佐人(今回の遺産分割につき同意をする臨時保佐人)を選任してもらうか、もしくはBさんにつき今回の遺産分割をする特別代理人を選任してもらうか、する必要が生じます。
(後見等監督人が就いている場合はその監督人が臨時保佐人や特別代理人の役割を果たします)。
Cさんは、行方不明ですので、
(生きている可能性があり、失踪宣告の要件を満たしていなければ)
家庭裁判所で不在者財産管理人を選任してもらう必要があります。
その不在者財産管理人が当事者として遺産分割をすることになります。
不在者財産管理人が遺産分割をする場合、(その不在者であるCさんに不利にならないよう)家庭裁判所の許可が必要になります(権限外行為許可)。
なお、Cさんが7年間生死不明など失踪宣告の要件を満たしており、死亡している可能性が高い場合、失踪宣告の制度を利用します。
失踪宣告によりCさんが死亡したものとみなされた場合は、Cさんの相続人が当事者として出てきます。
(亡)甲さん(Dの相続人)については、
相続人不存在ということで、
家庭裁判所で相続財産管理人を選任してもうらう必要が生じます。
その相続財産管理人が当事者として遺産分割をすることになります。
遺産分割をする場合、不在者の場合と同様に(甲さんに不利にならないよう)家庭裁判所の許可が必要になります。
なお、親よりDさんが先に亡くなっており甲が代襲相続人である場合でも同様です。
親(平成25年死亡)→D(平成24年死亡)→甲(平成30年死亡、相続人不存在)
遺産分割の当事者
1、Aさん→保佐人の同意要
2、Bさん→成年後見人
(Aさんの保佐人と成年後見人が同一人物の場合、臨時保佐人(同意権)か、もしくは特別代理人)
3、Cさん(行方不明)→不在者財産管理人
(失踪宣告の場合は、Cさんの相続人)
4、Dさんの相続人である(亡)甲さん(相続人不存在)→相続財産管理人
5、Eさん
と、普通になにもないEさんを除き、当事者に家庭裁判所で選任された代理人が
登場してくることになります。
実際は1つの相続で、これだけ重なることはありませんが・・・
死亡から何年も経ってから遺産分割するケースはよくあります。