司法書士とくの日記(ブログ)

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相続人不存在

最近、たてつづけに
相続財産管理人選任申立(書類作成)の
仕事がありました。


亡くなった時点で、
配偶者がおらず(離婚含む)
第一の相続人である子(代襲で孫等)の直系卑属がおらず
第二の相続人である親、祖父母の直系尊属がおらず
第三の相続人である兄弟姉妹(代襲で甥姪まで)がいない場合
相続人不存在となります。


このようにもともと相続人がいない場合以外に、
相続放棄により相続人がいなくなり相続人不存在になる場合
もあります。


多額の預貯金はあるが、それを上回る借金があるため
相続人の全員が相続放棄をした例


遺産として不動産はあるが、多額の借金があるため
相続人の全員が相続放棄をした例


相続登記がなされていない亡親名義の
不動産があるにもかかわらず、
その亡親の相続人の一人が死亡、
その者には借金が多く、その相続人の全員が相続放棄
してしまった例
http://d.hatena.ne.jp/tokucyan-siho/20120420


借金はないが、相続人としてかかわるのが嫌で
相続人全員が相続放棄をした例


相続人がいない場合、その遺産(負債含む)
を処理するためには
家庭裁判所へ相続財産管理人選任申立をし、
相続財産管理人を選任してもらう必要があります。


相続財産管理人の報酬確保のため
家庭裁判所に予納金の納付が必要となります。
遺産に預貯金など確実な金銭がない場合、
100万円の予納金の納付を指示されたことがあります。


ですから、相続人不存在となった方の遺産が
少ない場合、相続財産管理人選任申立が事実上
できない場合もあります。


成年後見人をしていて、被後見人の方が
相続人不存在の方で残った遺産が数万円など少ない場合、
費用対効果を考えると相続財産管理人選任申立はできません。
したがって、遺産は(借金がありその債権者が
相続財産管理人選任申立をするなどしない限り)
相続されることなく国庫に帰属することもなく
(国のものになるのでもなく)
そのままになってしまいます。


遺言がある場合(遺言執行者がいる場合)でも
相続人不存在で特定遺贈で借金がある場合など
相続財産管理人が選任されるケースがあります。
(受遺者は相続債権者に劣後する)