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相続登記について登記簿上の名義人と被相続人との同一性について

司法書士会から、被相続人の同一性の証明に関する不動産登記事務の取扱いについて(お知らせ)がありました。

相続登記について登記簿上の名義人と被相続人との同一性について

被相続人の同一性の証明に関する不動産登記事務の取扱いについて(照会)
相続による所有権の移転の登記の申請において、所有権の登記名義人である被相続人の登記記録上の住所が戸籍の謄本に記載された本籍と異なる場合には、相続を証する市区町村長が職務上作成した情報(不動産登記令(平成16年政令第379号)別表の22の項添付情報欄)の一部として、被相続人の同一性を証する情報の提供が必要であるところ、下記1又は2の場合においては、被相続人の同一性を確認することができ、「所有権の登記名義人と戸籍上の被相続人とは同一である」旨の相続人全員の上申書の提供を求めることなく当該申請に係る登記をすることができると考えますが、いささか疑義がありますので照会します。

1 被相続人の同一性を証する情報として、被相続人の住民票の写し(住民基本台帳法(昭和42年法律第81号)第7条、第12条)又は戸籍の附票の写し(同法第17条、第20条)(以下これらを「住民票の写し等」という。)、固定資産税の納税証明書又は評価証明書(地方税法(昭和25年法律第226号)第20条の10。以下これらを「納税証明書等」という。)並びに不在籍証明書及び不在住証明書が提供された場合において、登記官が、登記記録上の不動産の表示及び所有権登記名義人の氏名が納税証明書等に記載された不動産の表示及び納税義務者の氏名と一致し、納税証明書等に記載された納税義務者の住所及び氏名が住民票の写し等に記載された被相続人の住所及び氏名と一致し、かつ、住民票の写し等に記載された被相続人の本籍及び氏名被相続人に係る戸籍、除籍又は改製原戸籍の謄本(以下「戸籍等の謄本」という。)に記載された本籍及び氏名と一致していると認めるとき。


2 登記原因証明情報として、遺言公正証書民法(明治29年法律第89号)第969条)が提供された上、被相続人の同一性を証する情報として納税証明書等が提供された場合において、登記官が、登記記録上の不動産の表示及び所有権登記名義人の氏名が納税証明書等に記載された不動産の表示及び納税義務者の氏名と一致し、納税証明書等に記載された納税義務者の住所及び氏名が遺言公正証書に記載された遺言者の住所及び氏名と一致し、かつ、遺言公正証書に記載された遺言者及び相続人の氏名及び生年月日が戸籍等の謄本に記載された被相続人及び相続人の氏名及び生年月日と一致していると認めるとき。

照会のあった標記の件については、貴見のとおり取り扱われて差し支えありません。

以上

 

1、

被相続人の除票(本籍記載)もしくは戸籍の附票(本籍記載)の(最後の)住所A、氏名B

納税証明書、評価証明書もしくは固定資産税納税通知書に記載されている納税義務者の住所A、氏名B、不動産の表示C

+(登記簿上の住所、氏名につき)不在籍不在住証明書

戸籍の氏名B(本籍は上記の除票や戸籍の附票の記載と同じ)

登記記録上の不動産の表示C、氏名B(住所は一致しない)

*納税証明書となっていますが、固定資産税納税通知書(不動産が記載されている課税明細付)でも同じだと思います。・・・というより納税証明書というと役所によって様式が異なり不動産が記載されていないこともあるので、毎年役所から送られて来る固定資産税納税通知書(不動産が記載されている課税明細付)が一般的だと思います。

 

2、

納税証明書、評価証明書もしくは固定資産税納税通知書に記載されている納税義務者の住所A、氏名B、不動産の表示C

遺言公正証書の遺言者の住所A、氏名B、生年月日D、相続人の氏名E、生年月日F

戸籍の被相続人の氏名B、生年月日D、相続人の氏名E、生年月日F

登記記録上の不動産の表示C、氏名B(住所は一致しない)

 

この場合、

相続人全員の上申書は不要

いうことか

固定資産税納税通知書(課税明細付。登録免許税計算のためにも必要)を添付して、そこに記載されている住所、氏名が、被相続人の(最後の)住所、氏名と一致している場合は、登記簿上の住所の証明が(期間経過で破棄等のため)公文書でできない場合(破棄証明添付)でも登記は通っていた。相続人全員の上申書は付けたり、付けなかったり(当該不動産について相続人全員で遺産分割協議をしている場合などは別途上申書を付けることにどんな意味があるのか?)。今回の照会は上申書不要ということが確認された。

なお、評価証明書には住所の記載がないことが多い(役所によって異なる)。固定資産税納税通知書に記載の納税義務者の住所と、被相続人の除票等に記載の住所の一致が求められているが、ここは一致していないこともある(例えば住民票住所は施設に移していて、納税通知書については子が居る実家に送付してもらっている、逆に住民票は実家で、納税通知書は施設に送ってもらっている、など)。これでいくと一致していない場合は上申書要か(固定資産税納税通知書を所持しているというのは被相続人の相続人である蓋然性が高いと思われるが)。

以前、被相続人の住所を証明する公文書(除票や戸籍の附票)がまったくないケースで、固定資産税納税通知書記載の住所は(登記簿上の住所と)相違しているが、役所に代表相続人の届出をしている場合、評価証明書に所有者の住所、氏名(登記簿と同じ)と、納税管理人(相続人代表者)の住所、氏名が記載され、登記する相続人の住所、氏名が納税管理人(相続人代表者)と一致していて、上申書がなくても認められたケースがありました。

といっても(後で必要となると大変なので)当初から公文書で証明ができないと判っている場合は遺産分割協議書に上申文言を含ませたり、別途上申書をもらうようにはしています。

1の場合、不在籍不在住証明書までは不要に思うが・・・

このような照会は、明確になるという良い面がありますが、これに当てはまらない場合は必ず相続人全員の上申書が必要という(今までより厳しい)解釈に傾くという(悪い?)面もあります。今までより厳しくなるということがないように願います。

 

権利証書(被相続人が取得した際の登記済証)、登記識別情報(通知書)があればOK

被相続人との同一性(2) - 司法書士とくの日記(ブログ)

登記識別情報については、登記識別情報(12桁の数字とアルファベット)自体の提供が必要なのか(こちらが原則だと思う)、登記識別情報通知書があれば、折り込み等を剥がさなくても通知書の提出(原本還付)でよいのか、などはケースや法務局によって異なるようです。

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2017-05-13

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