司法書士とくの日記(ブログ)

司法書士業務、マラソン、その他

どんなことをしても手放したい、逃れたい不動産(負動産)

贈与の相談

「このような不動産を子に引き継がせるわけにはいかない」「子供からもお父さんの代でなんとかしといてと言われていました」

もらい受けてくれる人が見つかったので贈与で所有権移転したい、という相談

もらい受けてくれる人は、父母はすでに死亡、配偶者や子はおらず、兄弟姉妹もなく、相続人がいない天涯孤独な人ということ

(その人がもらう受けた場合、その人が死亡後に、その不動産を相続して困るような人がいないから・・・)

 

相続放棄の相談

法務局からこのような通知が来ました。

まったく知らない土地だし、関わりたくないので、

相続放棄の手続きをしたいのですが・・・

法務局からの通知

「この度、所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法に基づき、法務局で調査した結果、下記の土地について所有権の登記名義人が亡くなられているものの、名義人がそのままになっている状況で、その後も長期間、相続登記等がなされていないことが判明いたしました。つきましては、当該土地の登記簿上の所有者の法定相続人である貴殿に対して、その旨の通知いたします。今後も相続登記がされない状態が続きますと、更なる相続が発生するなどして権利関係が複雑となり、将来の登記申請が困難になるおそれがあります。このため、この機会に、必要な登記申請を行っていただきますようお願い申し上げます。また、下記の土地の登記申請に当たっては、申請に必要となる書類(被相続人の除籍謄本等)の一部の提供を省略することができる場合があります。・・・」

現在、法務局では、(一定の)長期間、相続登記がなされていない土地について、相続人を調査して、(相続登記の申請を促すために)その相続人の一人に対して、このような通知をしています(長期相続登記未了土地解消作業)。また、調査の結果の、法定相続人の情報が判る「法定相続人情報」が作成されていて、相続登記がやり易くなっています。

ただし、相続登記をする方向でなく、(国や法務局の思惑とは異なり)このように、相続から(なんとか)逃れたいがために「相続放棄ができないか」という相談が(割と)あります。

売主さんが買主さんへお金を支払う?(土地の売買) - 司法書士とくの日記(ブログ)

数次相続での相続放棄(相続から逃れることができない・・・) - 司法書士とくの日記(ブログ)

 

上記の長期間相続登記がなされていない旨の通知、の他、法務局から「表題部所有者不明土地の表題部所有者の登記について(通知)」という通知がきて、どうしたらよいのか?そこに記載されている土地も、表題部所有者として登記された人も全く知らない判らない、という相談もあります。

表題部所有者不明土地とは、登記の表題部所有者欄の氏名・住所が正常に記録されていない土地(例えば「山田太郎」と氏名のみが記録され、住所の記録がない土地など)で、法務局において所有者等の調査を行い、その調査の結果、所有者が判明すれば、法務局の方で職権で表題部所有者の登記がなされます。そして、この登記がなされた場合、その表題部所有者や、もしくは、その(知れたる)相続人に対して、審査請求できる旨、土地、手続番号、表題部所有者を通知をすることになっています(相続登記をしてくださいという通知ではありません)。表題部所有者から(すでに)相続が発生していることが多く、こちらは、登記された人は何代も前の人で、戸籍をかなり遡って調べないと(その表題部所有者として登記された人は)誰?なのか判らないケースがあります。また他の知らない人と共有になっていることもあり、こちらも同様に「相続放棄をしたい」という要望があります。ただし、前の代の相続が家督相続だったり、また(すでに)単純承認となっており、相続放棄できないケースはあります。

 

何十年も前の相続の、相続放棄の申述を家庭裁判所は受理してくれるのか?数次相続が生じているような何代も前の相続について、相続放棄申述の書類作成をした経験はありませんが、依頼者の方から、数次相続が生じている何代も前の相続について、相続放棄が受理された相続放棄申述受理通知書を受け取ったことはあります。この時は「こんな前の相続について受理されているのか」とちょっとびっくりしたことを覚えています。

家庭裁判所相続放棄の申述受理手続きは、相続放棄の有効無効を確定させるものではなく、受理されても相続放棄の有効無効は別に裁判で争うことができるということがあるので、却下する事由がなければ、受理されるという性質があることが関係していると思われます。ただし、数次相続については、どこの相続を放棄すればよいのか?不動産の相続を(法務局からの通知で)知ってから3か月以内の場合で、古い相続についてどこまで受理されるのか?すでに何らかの財産(遺産)を承継、処分しているなど、明らかに単純承認になっている場合は不可ですが、事情によってケースバイケースで悩ましい・・・

きちんと相続登記をする方向が望ましいとは言えますが・・・(そうでないと所有者不明土地の解消にはならない)

相続放棄の熟慮期間 - 司法書士とくの日記(ブログ)

再転相続と放棄って、めっちゃくっちゃ、ややこしいわ - 司法書士とくの日記(ブログ)