(なんで?)
被相続人A(不動産の登記名義人、男)
平成2年2月死亡
相続人
妻B
長男C
二男D
三男E
その後、
妻Bが平成3年3月に亡くなり、
相続人
長男C
二男D
三男E
その後、
長男Cが平成4年4月に亡くなり、
相続人は、
(配偶者は先に死亡、もしくは離婚で、いないものとして)
長男Cの子FとG
その後、
二男Dが平成5年5月に亡くなり、
相続人は、
二男Dの子HとI
長男Cの子FとG、及び二男Dの子HとIは、(祖父である)A名義の不動産の相続に関与したくない(逃れたい)という意図のもと、
長男Cの子FとGは、「被相続人A」の相続(A→C)につき相続放棄(家裁へ相続放棄申述)をした(熟慮期間の問題はありますが、受理されたとします)。
一方、二男Dの子HとIは、(自分の親である)「被相続人D」の相続につき相続放棄をした。
このような場合、Aの相続人は誰になっているでしょうか?
三男のEのみ?
・・・ではありません。
二男のDについては、子(HとI)が全員相続放棄をしたので、相続人は、兄弟姉妹が相続人になり、Eと、(先に亡くなっている、亡)Cの子であるFとG(代襲相続人)になります。
また、長男Cの子FとGは、被相続人Aの相続につき相続放棄していますが、Bと、上記のDからの相続は断ち切っていませんので、そこからの流れでは相続人となります。
したがって、三男のEと、長男Cの子FとGが相続人となります。
三男のEと、長男Cの子FとGで、遺産分割協議が必要。
長男Cの子FとGは、(不動産の登記名義人である)被相続人Aの相続につき相続放棄したにもかかわらず、この不動産の相続から抜けることはできません。相続から抜けるためには、数次で流れてくる相続すべてを断ち切る必要があります。
Cには、Aの相続人とBの相続人の立場があり、それをFとGが引き継いでいます。また、FとGには、Dからの代襲相続人の立場もあります。これらすべてをAの相続放棄のみで断ち切ることはできません。
(別途、BやDの相続についても放棄していることが判る書類等があれば別ですが・・・相続放棄申述受理通知書には被相続人Aの記載しかありません)
この場合で、(祖父である)A名義の不動産の相続に関与したくないというのであれば、長男Cの子FとGは、(自分の親である)Cと、さらにDの相続につき相続放棄をするか、A、B、Dについて相続放棄する必要があると思われます。
Cについて相続放棄をしたとしても、Dについても相続放棄が必要なのは、(Cについて相続放棄をしていても)Dからの代襲相続はなされることになるからです。
一方、二男Dの子HとIは、親のDの相続を放棄することによって相続人ではなくなっています(Dの相続放棄でAとBからの相続を断ち切っています)。ただし、相続から逃れた二男Dの子HとIですが、例えばその後、三男Eが亡くなりEに子がなく兄弟姉妹相続となった場合は、Eの相続につき(亡)二男Dからの代襲でHとIは代襲相続人として登場します。長男Cの子FとGも同様、代襲相続人として出てきます。ですから、(相続から逃れたい場合は)その時にEの相続につき、相続放棄をする必要が生じます。
(勘違いしやすいので・・・)例えば、
被相続人甲→相続人乙(甲の子)→(乙の)相続人丙(乙の子)
乙が甲の相続について相続放棄をした場合は、甲の相続について丙が相続人になることはありません(代襲とかはありません)。
乙が甲より先に死亡している場合は、丙が甲の相続について代襲相続します。
丙が乙の相続について相続放棄をしていても、甲からの代襲相続は生じます。
兄弟姉妹の代襲は一代限りですが、同様な感じになります。
数次相続が生じると相続関係は複雑になりますので相続登記はお早めに・・・
(過去ブログ)
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