抜け落ちている(漏れている)不動産
遺産分割協議がすでになされているケースと、
離婚調停(夫婦関係調整調停)ですでに財産分与の合意がなされているケース(登記も完了)で、
不動産が抜け落ちていた(漏れていた)事案に
今年になって立て続けに遭遇しました。
ある不動産を取得(相続や財産分与など)した場合で、
建物とその底地の土地はきちんと合意や移転登記がなされていますが、
それに当然付帯していると思われる不動産が合意の中に入っておらず
移転登記されずに前の所有者のままになっていることがあります。
例
マンションで発生することが多いと思います。
規約共用部分になっていない建物(集会所、倉庫、ボイラー室など)がある場合。これは、そのマンションの全所有者の共有になっている場合や、倉庫などで独立した専有部分(単独所有)になっている場合があります。
敷地権登記されていないマンションで、マンションの底地以外で、ゴミステーション、庭、テニスコート、広場、駐車場などの土地が別にある場合。これが、そのマンションの全所有者の共有になっていることがあります。
1戸建ての建物でも私道部分がある場合。また、ゴミステーションなどの土地がその辺一帯の所有者の共有になっているケースもあります。
このような不動産が漏れやすいです。
(実務メモ)
http://www.amy.hi-ho.ne.jp/sakai-siho/jitumumemo.htm
固定資産税が課税されている場合は、その納税通知書に記載がありますので判明しやすいと思いますが、そうでない場合、抜け落ちる(漏れる)ことがあります。
登記したときの権利証書(登記済証)や登記識別情報のチェックで判明することがあります。また、抵当権の担保となっていた場合で全部事項証明書の共同担保目録で判明することもあります。今回はこれのチェックで判明しました。遺産分割協議や財産分与の合意をする際、この辺のチェックをしていなかったということになります。
役所で、非課税物件、共有物件などすべてを含む名寄帳(人ごとの固定資産課税台帳)を取得しないとわからないケースがあります。
司法書士が関与した場合はこの辺は注意して対応しますが、それでも抜け落ちる(漏れる)ケースはあると思われます。
追
現在は多くの法務局で登録免許税計算のための添付書類として(法定の添付書類ではありませんが)、評価証明書ではなく、「固定資産税納税通知書(課税明細)」を添付するでOK(コピーでも可)となっていますが、この固定資産税納税通知書(課税明細)には、非課税の私道部分が(存在する場合でも)記載されていないことがあります。以前は、評価証明書の取得で判明していたのが、評価証明書を取得しないようになれば、対象の不動産が抜け落ちる可能性が高くなります。ただし評価証明書の取得で不動産を特定して請求する場合は役所の方で親切に「私道部分もありますよ」と教えてくれないこともあります。所有権の権利証書(登記済証)などではっきりする場合は良いですが、やはり、相続などの場合は、名寄帳を取得して確認するのが望ましいといえます(もしくは、評価証明書を、その他非課税不動産、共有不動産など所有するすべての不動産を含むとして請求)。
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