一例
夫A
妻B
令和元年婚姻
令和3年に離婚
Bは離婚から120日目に他の男性Cと再婚(100日間の婚姻禁止期間があるため)
Bは離婚から280日目に子Dを出産(子Dは、再婚相手Cとの間の子であった)
Bは、子Dの出生届出について、再婚相手のCを父として役所に届出をしたが、
離婚から300日以内に生まれた子なので、
民法772条により、前の夫Aの子と推定されるため、
前の夫Aを父とする出生届でないと受けつけられないと言われた。
「この子は、再婚したCの子なんです」と言ってもダメであった。
このような場合、役所に、再婚相手のCを父とする出生届を受付けてもらうためにはどうすればよいか?
1、早産であった場合、医師の(離婚後の時期に懐胎したことが判る)懐胎時期に関する証明があればできる。
2、元夫のAから、家庭裁判所に対して嫡出否認の手続きをしてもらう(ただし、元夫Aが出生を知ってから1年以内)。
3、Bが、家庭裁判所に対して親子関係不存在確認の手続きをする。
ただし、元夫Aが長期の海外出張、別居等で子の母Bと性的交渉がなかった場合など、Bが元夫Aの子を妊娠する可能性がないことが客観的に明白である場合に限られる。
4、子Dの法定代理人である母Bが、家庭裁判所に対して、再婚相手のCを相手方として、認知請求の手続きをする。
ただし、元夫Aが長期の海外出張、別居等で子の母Bと性的交渉がなかった場合など、Bが元夫Aの子を妊娠する可能性がないことが客観的に明白である場合に限られる。
このように(ケースによっては)壁は結構、高くなります。
民法の法改正がなされれば、このような場合、再婚相手のCを父とする出生届が受け付けられるようになります。
一例
夫A
妻B
令和元年婚姻
令和3年、Bが子Dを出産
子DはABの婚姻中の子なので、当然のごとくABの子として出生届出がなされた(Aは特に疑うことなく自分の子であると思っていた)。
その後、令和4年に、妻Bの他の男性Cとの浮気(不倫)が発覚し離婚
子Dについては、母のBが親権者となり、母が引き取り養育、Aは養育費の支払をし、定期的に子Dとは面会交流していた。
数年経過後、(BとCとの関係は続いており)BはCと再婚
そして、Aは、元妻Bから次のことを告げられた。
(元妻Bは令和3年以前からCと不倫関係にあったということで)「実は、子Dは、あなたの子ではなく、Cの子なんです。DNA鑑定をしたところ、ほぼ100%、Cの子と鑑定されました。ですからDは、Cの子にしたいと思います」
このようなケースで、子Dの父をAからCに変更することができるのか。
とてもむずかしい問題だと思うが、判例では、生物学的に実の父はCだとしても、身分上の法的安定などを考え、父Bの状態を否定することはできない、とされています(最高裁判所平成26年7月17日判決)。よって、たとえ実の父がCだとしても、戸籍上、Cを実父にすることはむずかしいと思われます。