抵当権の登記
抵当権者が信用金庫の場合、抵当権設定登記で、取扱店の表示ができるようになりましたが、抵当権設定登記の際、信用金庫の担当者に確認しても「・・・どちらでもかまわない」という感じ(興味なし?)で、明確な反応はありません。一応、登記原因証明情報か委任状に取扱店が書いてあれば、登記するようにしています(登記原因証明情報に記載がある場合は、取扱店の登記をする趣旨と解しています)。
1、抵当権者の取扱店の表示について
登記研究866号(令和2年4月号)
信用金庫・信用組合・信用保証協会(以下「信用金庫等」という。)を抵当権(根抵当権を含む。以下同じ。)者とする抵当権の設定の登記の申請書に当該信用金庫等の取扱店を記載して申請があった場合、登記記録に信用金庫等の取扱店を表示して差し支えない。
問 信用金庫等を抵当権者とする抵当権の設定登記申請書に取扱店を記載して申請があった場合でも、その取扱店の表示はできないとされているところ、銀行を抵当権者とする抵当権の設定登記については、全国各地に支店が存在するという金融機関の実情から、便宜的に取扱支店を添加的に登記簿に記録することが認められていること(昭和36年5月17日付民事甲第1134号民事局長通達)を踏まえると、信用金庫等についても一定の区域内ではあるものの複数の支店が存在するという実情にかんがみれば、銀行と同様に、登記記録に信用金庫等の取扱店を表示して差し支えないものと考えますがいかがでしょうか?
答 御意見のとおりと考えます。
取扱店の表示が認められている抵当権者
株式会社日本政策金融公庫
・・・
プラス
信用金庫、信用組合、信用保証協会もOK
独立行政法人住宅金融支援機構は、(取扱店 〇〇銀行)、(取扱店 〇〇銀行〇〇支店)は認められているが、(取扱店 〇〇銀行本店営業部)と表記することはできない(本店営業部は、支店というより、組織内部の部署のようなものだから認められないという趣旨)
全国信用金庫連合会(なお、現在は信金中央金庫)が貸付業務を信用金庫に委託して行なった場合の抵当権等の担保権の設定の登記において当該取扱店たる信用金庫を登記簿に記載してさしつかえない(登記研究181号)。
〇〇信用保証株式会社などの保証会社は取扱店の表示は認められていません(全国規模でも金融機関でない会社の場合は不可)。
登記原因証明情報か、もしくは委任状に取扱店を記載して申請する。
2、抵当権設定登記の原因(例)について
令和〇年〇月〇日金銭消費貸借同日
住宅ローンの場合の原因(一般的に、保証会社(保証人)が抵当権者となります)
令和〇年〇月〇日保証委託契約による求償債権令和〇年〇月〇日設定
もしくは、令和〇年〇月〇日保証委託契約に基づく求償債権令和〇年〇月〇日設定
令和〇年〇月〇日住宅ローン保証委託契約による求償債権令和〇年〇月〇日設定、っていうのもあります。
(あまり実例はありませんが、求償債権だけでなく、保証料債権なども担保する場合は、令和〇年〇月〇日保証委託契約令和〇年〇月〇日設定)
保険会社が保険契約で保証する場合、
令和〇年〇月〇日住宅ローン保証保険契約による求償債権令和〇年〇月〇日設定
令和〇年〇月〇日住宅ローン保証保険契約に基づく求償債権令和〇年〇月〇日設定
いずれにせよ、抵当権者は、保証人(保証会社、保険会社)
令和〇年〇月〇日 債権譲渡(原契約同日金銭消費貸借・譲渡人 〇〇〇〇株式会社)にかかる債権の同日設定
なお(参考)、
保証委託がない場合
令和〇年〇月〇日保証契約による求償債権令和〇年〇月〇日設定
令和〇年〇月〇日保証契約に基づく求償債権令和〇年〇月〇日設定
(抵当権者は保証人)
(保証人の求償権を担保するのではなく)保証債務を担保するために設定する場合
令和〇年〇月〇日保証契約令和〇年〇月〇日設定
(抵当権者は債権者)