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年金受給者の確定申告(メモ)

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ブログの内容は当方の備忘録としてが多いので、おのずと司法書士向けになります。

 

年金受給者の確定申告(メモ)

 

申告義務はない(原則)

公的年金等の収入金額(2か所以上からの支給がある場合はその合計額)が400万円以下で、かつ、公的年金等所得以外の所得金額が20万円以下である場合は、所得税の確定申告の義務はありません。

公的年金等とは
国民年金や厚生年金、共済組合から支給を受ける老齢基礎年金、老齢厚生年金、退職共済年金や、恩給(普通恩給)や過去の勤務に基づき使用者であった者から支給される年金、確定給付企業年金契約に基づいて支給を受ける年金 など

多くの年金受給者はこれに当てはまると思います。

ネットの国税庁確定申告書等作成コーナーで確定申告の作成を試みると、(還付にならない場合で)この要件に当てはまる場合は、次のような「確定申告と納税は不要です」という案内が表示されるようになっています。

 

計算の結果、以下の①、②に該当するため、所得税の確定申告と納税は不要です。

公的年金等の収入金額が400万円以下

公的年金等に係る雑所得以外の所得金額が20万円以下

(注1)①のうち、源泉徴収の対象とならない外国の公的年金などがある場合、確定申告が必要となる場合があります。

(注2)②について、確定申告を行うことが適用要件とされている特例(青色申告特別控除など)を受ける場合は、確定申告が必要となる場合があります。

(注3)②について、譲渡所得がある方のうち、特別控除の特例(措置法33条の4、措置法34条、措置法34条の2)を適用される方は、特別控除後の金額で判定しています。

所得税の確定申告が不要となる場合であっても、住民税の申告が必要となる場合があります。詳しくは、お住まいの市区町村にお問い合わせください。以上

 

上記に当たる場合でも、申告した方が良い場合

源泉されていた税金の還付が受けられる場合(源泉されている税金があるのが前提)

扶養親族等申告書(毎年、9月か10月頃、年金機構などから届きます)を提出しておらず、本人が障害者、控除対象の配偶者、扶養者がいる場合は、申告した方が良い(還付の可能性大)。

 

扶養親族等申告書を提出している場合でも、年金からの天引き以外に社会保険料を支払っている場合、生命保険料控除、損害保険料控除、医療費控除などがある場合は申告した方が良い場合がある(還付の可能性あり)

医療費控除については、計算がむずかしい場合があり、対費用効果で考慮する。

被後見人の方の確定申告 - 司法書士とくの日記(ブログ)

 

扶養親族等申告書を提出していて、それによって、配偶者控除、扶養控除、障害者控除などの控除はなされており、社会保険料はすべて年金から天引きの場合、その他の生命保険料控除や医療費控除などの控除がない場合は確定申告しなくてもよいと考えられる。が・・・

住民税の申告はどうか?

 

所得税の確定申告が不要な場合であっても、以下①②に該当する方は住民税の申告が必要な場合があります。

公的年金等に係る雑所得以外の所得がある場合①や、

住民税について、「公的年金などの源泉徴収票」に記載されている控除(社会保険料控除や配偶者控除、扶養控除、基礎控除等)以外の各種控除(生命保険料控除や損害保険料控除、医療費控除など)の適用を受ける場合②

②の場合は、上記のとおり、税務署へ所得税の確定申告をした方が良いかもしれないケースになります。

①②に当てはまらない場合は、住民税の申告も不要

(なお、後期高齢者医療保険ではなく、国民健康保険に加入している人(例えば、障害年金で生活している方など)は、国民健康保険料の計算のため、住民税の申告を求められる場合があります。また、住民税の申告により非課税が証明でき、社会保険料の減免、NHK受信料免除(プラス障害者手帳があるなどの場合、申請要)などのメリットがある場合があります)

 

市からの案内

所得税の確定申告が不要な人でも以下の人は住民税の申告が必要です(申告をしないと、住民税の税額が高く計算される場合があります)。

配偶者控除、扶養控除などの追加や訂正がある人
年金支払者から市に届く「年金支払報告書」に配偶者や扶養親族がいる旨の記載がされていない場合、配偶者控除や扶養控除が適用されません。ご自宅に届く「公的年金等の源泉徴収票」の控除欄を確認の上、配偶者控除や扶養控除などの控除に追加や訂正がある場合は、住民税の申告を行ってください。

社会保険料控除の追加がある人
年金から差し引かれている各種社会保険料以外に、納付書や口座で国民健康保険税介護保険料、後期高齢者保険料などを支払っている人や扶養の方の国民年金保険料等を支払っている人は住民税申告によって、社会保険料控除額が追加されます。

医療費控除、生命保険料控除、地震保険料控除等がある人

 

ある市からの案内

住民税の申告をしなくてもいい人

1、税務署に所得税の確定申告をされた人

2、給与所得者で、勤務先から本市へ給与支払報告書が提出されている人

3、年金所得者で、申告する控除が年金から天引きされていた社会保険料のみの方

*納付書または口座引き落としで支払った社会保険料は申告しないと控除は受けられません。

この3は少し不親切で、扶養親族等申告書を提出しなくても大丈夫な方(*下記税制改正)、もしくは、扶養親族等申告書を提出していて、それによって、配偶者控除、扶養控除、障害者控除などの控除はなされており、社会保険料はすべて年金から天引きの場合で(その他で支払った社会保険料はなく)、その他の生命保険料控除や医療費控除などの控除がない人、になると思います。

 

収入が年金のみの方は、(一般的には)扶養親族等申告書を提出していれば、所得税や住民税の申告は不要と考えてよいケースが多いと言えます。

もっとも、もともと源泉されず税金のかからない年金受給者の方については(当方が後見等しているほとんどの方)、扶養親族等申告書は送られてこず、申告は不要です。

 

(余談)当方が一方の成年後見人になっている夫婦のケースで(夫婦とも特別障害者でしたが)、夫(公務員だった方で比較的年金の多い方)の扶養となっている妻だけが施設に入所し別居となった場合、控除額が減り税金が増えたケースがありました。その時は、「妻が施設に入って負担が増えたのに、なぜ控除額が減り税金を増やすのかな?」と思った記憶があります。

(余談)私が成年後見になっている株式や投資信託がある方で、特定口座年間取引報告書(源泉徴収ありを選択)に源泉されている税金があったので、(源泉を選択しているので確定申告は不要だが、他の年金収入は少ない方なので、あえて)還付申告したところ、(株式配当などの所得が加わり)所得段階が変わり、介護保険料や後期高齢者医療保険料が上がってしまい、あまりメリットがなかったことがありました・・・源泉されている税金だけでなく、社会保険料も考慮して(対費用効果も考え)申告するかしないか判断する必要があります(結構むずかしい。ただし、最近は、社会保険料に反映されないように住民税申告により住民税については申告不要制度を選択できるようになっているよう・・・

年金受給者の確定申告(メモ)2 - 司法書士とくの日記(ブログ)

 

過去ブログ(平成27年)

最近、私が成年後見人に就任した方

「扶養親族等申告書」を長年提出しておらず、
年金から多額の税金が源泉徴収されていました。
(ご本人が郵便物の管理ができず、また、内容も把握できない状態でしたので)

(扶養親族がいない場合でも)
扶養親族等申告書を提出しない場合、
基礎控除すら受けることができず
例えば、提出していれば年間2万円ぐらいのところ
年間14万円ぐらい源泉されているケースがあります。

年金事務所で各年の源泉徴収票を再交付してもらい、
5年遡って還付申告をして還付を受けました。
(例えば平成22年度分は平成27年12月31日まで申告可能です)
転居等でいろいろ費用が必要でしたので、これはこれで助かりました。

後見業務では、この辺の知識も重要です。


国の年金ではなく、
〇〇企業年金基金の場合、扶養親族等申告書を提出して、
基礎控除等受けられるようになっていません。
(ただし、厚生年金基金企業年金連合会老齢年金の場合はHPをみると扶養親族等申告書を提出するようになっています。ややこしいです)

〇〇企業年金基金については、
制度上「扶養親族等申告書」は国にのみ提出するため、
年金支給時に所得控除を受けることができません。
そのため、年金額に関わらず毎回の支給額から一律7.6575%が源泉徴収された年金額が一旦支給されます。
そのため、翌年の確定申告において、国の年金等の他の所得と合算し年金額を確定させ、税額の過不足を精算することになります(生活保護受給者でも、この場合、源泉されているので、確定申告により還付を受けます)。

 

税制改正に伴い、令和2年分以降の扶養親族等申告書については、提出された場合と提出されなかった場合で、所得税率に差がなくなりました。そのため、各種控除に該当しない方(受給者本人が障害者・寡婦寡夫)等に該当せず、控除対象となる配偶者または扶養親族がいない方)は、扶養親族等申告書を提出する必要はありません。

この改正により、上記のブログのような多額の源泉がされるという状況は、なくなります。

 

年金機構と共済組合、2か所から扶養親族等申告書が届いた場合

どちらかの申告書に扶養親族等を記載して提出します。所得税法の規定上、厚生年金保険と共済組合から支給されている老齢または退職を支給事由とする年金(それぞれの年金の年金額が108万円(65歳以上の方は158万円(注))以上のものに限ります。)を受けている方は、それぞれの年金から所得税源泉徴収されます。そのため、それぞれの年金について申告書が送られてきます。扶養親族がおらず、ご自身が障害者や寡婦寡夫)等に該当しない場合、どちらの申告書も提出不要です。
扶養親族がいる、または、ご自身が障害者や寡婦寡夫)等に該当する場合、提出が必要ですが、配偶者または扶養親族に係る控除及び受給者本人に係る障害者控除等の各種控除について、二重に控除を受けることはできませんので、控除を希望する方の年金の申告書に扶養親族等の氏名等必要事項を記載して提出します。もう一方の申告書は提出不要です。(注)退職共済年金の受給者であって、老齢基礎年金が支給されている方の場合は、退職共済年金の年金額が80万円以上