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年金受給者の確定申告(メモ)2

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(余談)私が成年後見になっている株式や投資信託がある方で、特定口座年間取引報告書(源泉徴収ありを選択)に源泉されている税金があったので、(源泉を選択しているので確定申告は不要だが、他の年金収入は少ない方なので、あえて)還付申告したところ、(株式配当などの所得が加わり)所得段階が変わり、介護保険料や後期高齢者医療保険料が上がってしまい、あまりメリットがなかったことがありました・・・源泉されている税金だけでなく、社会保険料も考慮して(対費用効果も考え)申告するかしないか判断する必要があります(結構むずかしい。ただし、最近は、社会保険料に反映されないように住民税申告により住民税については申告不要制度を選択できるようになっているよう・・・

 

株式の配当金や投資信託の分配金がある方で、源泉徴収を選択している場合は、この配当金や分配金について所得税が15.315%、住民税が5%の税金が源泉徴収されており、確定申告は不要となっています。

大分前ですが、私が成年後見人になった方で、年金収入は少ないのに(住民税等、非課税)、結構、この税金は徴収されているなと思い、確定申告をして、税金の還付を受けたことがあります。しかし、後で介護保険料や後期高齢者医療保険料の追加納付を請求されて、(マイナスではありませんでしたが)あまりメリットがなかったことがあります。確定申告により、株式の配当金や投資信託の分配金の所得が市に判明し、住民税や、さらに、介護保険料や後期高齢者医療保険料などの社会保険料の計算で、その所得が加算されたため、このようなことになりました。

後でこのことを司法書士仲間に話した際、「もともと本人が源泉徴収を選択している場合は、確定申告不要を選択しているのだから、成年後見人があえて確定申告までする必要はないのではないか」「(還付の金銭的な)メリットがどれぐらいあるかによる」「社会保険料まで考慮しなければならないのであれば、むずかしいな」「税金については司法書士は専門外だし、税理士に相談するにしても、それだけのメリットがあるのかどうか、通常、そこまでしないのではないか」「そこまではしない・・・」と、いろいろ話が出ました。

 

しかし、その後、

地方税法の改正で、所得税については、(還付のため)確定申告で総合課税を選択しても、住民税については、申告により申告不要制度を選択できるようになっています。住民税について申告不要制度を選択すれば、その所得は、介護保険料や後期高齢者医療保険料などの社会保険料の計算には反映されないとすることができます(株式配当等の所得は申告不要で源泉分で終了、別途住民税の所得には計上されない。その住民税の所得が社会保険料計算の所得になるから)。

 

ある市の案内

確定申告をして上場株式等の譲渡所得等や配当所得等の所得額が発生する場合であっても、市・県民税の納税通知書が送達されるまでに、確定申告書の提出とは別に、市・県民税申告書(上場株式等の所得に関する市・県民税申告不要等申出書)を提出することで、所得税と市・県民税とで異なる課税方法を選択することができます。市・県民税の課税方法として申告不要制度を選択した場合は、国民健康保険税後期高齢者医療保険料、介護保険料などの算定対象となる所得に含まれません。

*市・県民税申告書(上場株式等の所得に関する市・県民税申告不要等申出書)の提出が遅れた場合や、過年度のものに申告不要制度は適用できません。当該年度の市・県民税納税通知書が送達される日までに提出をお願いします。以上

 

平成29年度の税制改正により、上場株式等の配当所得等および譲渡所得等に係る課税方式について、所得税と市県民税で異なる課税方式(申告不要制度・申告分離課税・総合課税)を選択することが可能であることが明確化されました。これにより、例えば所得税では「総合課税」もしくは「申告分離課税」を選択し、市県民税では「申告不要制度」を選択することが可能となりました。なお、この制度の対象となる所得は、①配当等の支払い時に、個人住民税(市県民税)が「配当割額」として特別徴収されている上場株式等の配当所得等(いわゆる特定配当等)、および②個人住民税(市県民税)が「株式等譲渡所得割額」として特別徴収されることとなっている源泉徴収ありの特定口座内で取引される上場株式等の譲渡所得等(いわゆる特定株式等譲渡所得金額)に限ります。

上場株式等の配当所得については、総合課税、申告分離課税、申告不要制度の3つの課税方式から、所得税と市県民税それぞれで異なる課税方式を選択できます。「特定公社債等の利子所得等」および「上場株式等の譲渡所得等(源泉徴収ありの特定口座内のものに限る)」についても、申告分離課税、申告不要制度の2つの課税方式から、所得税と市県民税それぞれで異なる課税方式を選択できます。

申告不要制度を選択する場合、5%の特別徴収で課税が終了します。申告しないため、配当所得金額等は合計所得金額、総所得金額等に算入されません。以上

 

平成29年度税制改正により、特定配当等に係る所得及び特定株式等譲渡所得金額に係る所得(以下「上場株式等の特定配当等」)について、所得税と個人住民税で異なる課税方式(申告不要制度・総合課税・申告分離課税)を選択できることが明確化されました。例えば、上場株式等の特定配当等について、所得税の確定申告では総合課税で申告し、個人住民税は申告不要制度を選択して申告すると、上場株式等の特定配当等が国民健康保険税等の算定基準となる合計所得金額や総所得金額等に含まれないため、保険料の増額等を抑えることができる場合があります。所得税と個人住民税で異なる課税方式を選択したい場合は、市民税・県民税納税通知書送達前までに所得税の確定申告書とは別に市民税・県民税の申告書の提出が必要です。期限までに市民税・県民税の申告書の提出がない場合は、所得税の確定申告書における課税方式が個人住民税のうえでも適用されます。以上

 

なぜ、このような改正がなされたのかはよくわかませんが・・・、明確化ということだから市によって異なっていたのか、市の、後で計算をやり直し納付通知する負担が大きかったのか?、苦情が多かったのか?、

住民税だけ申告不要として、後期高齢者医療保険料、介護保険料に影響しないようにできるのであれば、また検討の余地が出てきます。

 

これについての市の案内はわかりにくいです、例えば、まず最初に赤文字で(注意!)申告すると保険料が上がる場合があります、と記載があったり、国保のページで、後期高齢者医療や介護保険は別ですとか、介護保険のところで、住民税につき申告不要としても、医療費負担が増える場合があるとか・・・

一般的には、株式の配当や投資信託の分配金で、ある程度の(それなりの)額が源泉されている方で、(少ない)年金収入のみの方は、所得税につき税務署へ確定申告(総合課税)をして、住民税については、申告不要制度を選択する申告をする、で得(金銭的利益あり)になる(ケースが多い)と思います。市に提出する書類は簡単なものでむずかしくはありません。

上場株式等に係る配当所得等および譲渡所得等の課税方式の選択について|西宮市ホームページ

 

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