不動産登記
氏名変更の登記(所有権登記名義人氏名変更)
論点2つ
一つ目
登記簿の氏名 山田花子
現在の氏名 佐藤花子
変更事由
平成10年1月1日佐藤太郎と婚姻届(夫の氏を称する、夫の氏の新戸籍に)
平成20年1月1日離婚(婚姻前の氏に戻るが・・・次の届出をする)
氏変更日 平成20年1月1日
氏変更の事由 戸籍法77条の2の届出(離婚の際に称していた氏を称する届出)をして、佐藤をそのまま称することに。
この場合、氏名変更の登記原因はどうなるか?
①結婚をした平成10年1月1日
②離婚をして婚姻中の氏を称する届出をした平成20年1月1日で氏名変更
結論
①で氏名が佐藤花子になり、②はその氏をそのまま継続ということだから、
①の平成10年1月1日氏名変更で登記をする(登記研究534号130頁)。
二つ目
次の場合、氏名変更について、更正登記(錯誤)で登記することになるのか、それとも、変更登記ですることになるのか?
不動産(土地)の登記簿(全部事項証明書)
甲区 1番 平成9年1月1日
住所 山田花子
甲区 2番
平成11年1月1日 土地区画整理の換地処分による所有権登記
住所 山田花子
氏名変更の登記申請
①登記の目的 所有権登記名義人氏名変更
原因 平成10年1月1日氏名変更
変更後の事項 所有者の氏名 佐藤花子
不動産の表示 ・・・ 甲区順位番号2番
とするのか、
もしくは、
②登記の目的 所有権登記名義人氏名更正
原因 錯誤
更正後の事項 所有者の氏名 佐藤花子
不動産の表示 ・・・ 甲区順位番号2番
とするのか?
甲区2番の平成11年1月1日を基準にすると、氏名の変更日は平成10年1月1日だから、更正、錯誤②になると思われるが、これ(甲区2番)は、土地区画整理の換地処分による所有権登記としてなされたもので、当事者(所有者)の申請によるものではないため(甲区1番の所有者をそのまま写しただけ)、甲区1番(平成9年1月1日)を基準として変更登記①をするとも考えられる?
なお、(花子所有の)土地区画整理の換地処分による所有権登記されていない(甲区2番のない)他の不動産もあり、それは変更登記で申請するため、もし、この土地が更正登記(錯誤)でするということであれば、登記原因が異なり、この土地だけ別申請でしなければならなくなる。
結論
法務局(神戸地方法務局)に照会したところ、①の変更登記ですると回答がありました。これであれば、土地区画整理の換地処分による所有権登記されていない他の不動産といっしょに申請することができます。
ただし、(調べると)
②の更正登記(錯誤)でする(登記研究599号167頁)という考え方もあります。あくまで甲区2番で登記されている氏名の変更だから(2番登記名義人表示更正)。
この場合は、他の不動産とは原因が異なるので別申請となり、取引(売買)なんかで、他の不動産といっしょに氏名の変更登記をしていた場合、登記申請を取り下げざるを得なくなることも考えられる(怖)。
住所移転でも同様
このようなケースでは、法務局の回答のとおり、錯誤(間違っていました)なんて訳の分からない原因よりも、きちんと、まっとうな原因(平成10年1月1日氏名変更)で変更登記するのが良いと思います。
住民票に本籍の記載が必要なケース - 司法書士とくの日記(ブログ)
商業登記(最近の改正など) - 司法書士とくの日記(ブログ)
追
表題部
地番 10番2(地積 50・00平方メートル)→換地処分で地番100番(地積 100・00平方メートル)に変更
平成11年1月1日 土地区画整理の換地処分 他の従前の土地 10番1
甲区2番 土地区画整理の換地処分による所有権登記
平成11年1月1日第12345号
所有者 住所 山田花子
表題部に、「他の従前の土地」と記載がある場合(複数の土地につき、1筆の土地の割当)
この場合の山田花子の権利証書(所有権の登記済証)は、土地区画整理の換地処分による所有権登記をされた際に発行された登記済証(職権による登記ですが、複数の土地につき、1筆の土地の割当の場合は、登記済証か登記識別情報が発行されます)か、
もしくは、換地処分前の従前の土地すべての権利証書(所有権の登記済証)になる。