司法書士とくの日記(ブログ)

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電話による家庭裁判所の調査官の本人調査

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家庭裁判所

保佐開始の申立て

補助開始の申立て

をする際、通常、「代理権目録」を提出します。

保佐人や補助人に代理権を付与する場合、その代理権につき(本人申立を除き)本人の同意が必要になります。

この代理権目録は、家庭裁判所の定型書式があって、一般的な項目については、チェック方式になっています。

家庭裁判所の代理権目録の書式はかなり変わってきています。

最新の代理権目録には、

一部の口座に限定した代理権の付与を求める場合には・・・と、一部の口座に代理権付与する場合の注意書きがあったり、

また

・情報通信(携帯電話、インターネット等)に関する契約の締結、変更、解除及び費用の支払

・個人番号(マイナンバー)に関する諸手続

・住民票の異動に関する手続

なんかが加わっています。

前は「住民票の異動に関する手続」は項目になく、保佐人や補助人が本人の転居届、転出転入届をする際は、本人から委任状をもらってしていました。もし、代理権にこれが加わっている場合は、本人から委任状をもらわなくてもできるのだと思われます。

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さて、(話は継続して・・・)

この代理権目録の注意書きに「内容については、本人の同意を踏まえた上で、最終的に家庭裁判所が判断します」とあります。

家庭裁判所の調査官の本人調査というものがあり、保佐開始申立や補助開始申立した場合、家庭裁判所の調査官が必ず本人と面談をして、この代理権などについて、本人に確認をします(家庭裁判所で、ある代理権は不要と判断されると、その代理権は付与から除かれます)。原則、本人が家庭裁判所へ行って調査を受けることになりますが、本人が家庭裁判所へ行くことが困難な場合(歩行が困難など)は、家庭裁判所の調査官の方から、本人が居る施設や病院、自宅などへ来てもらうことも可能です。

 

この家庭裁判所の調査官の本人調査ですが、今回、(本人が家庭裁判所へ行くことが困難なケースで)コロナのこともあり、なんと「電話」ですることになりました

保佐の本人申立てのケース(申立人兼本人)ですが、本人申立の場合も、代理権などについて調査官が確認をします。

 

(調査官は裁判所に居るままで)

私(申立書類作成の司法書士)が、本人の居る施設へ行き、私の携帯電話に、裁判所に居る調査官から電話をしてもらい、その携帯電話をスピーカーにして、調査官が質問等をして、(本人の居る施設で)本人、私、施設の相談員が聞き、本人が答えるというものでした。

ご本人はすこし難聴でしたので、どうなるか心配でしたが、最近の携帯電話のスピーカーは優秀で、音を大きくでき、(本人の耳元へ持っていくことができ)鮮明でしたので大丈夫でした。本人自身のこと、家族のこと、財産のことなど質問され、代理権については、わかりやすい言葉で一つ一つ、保佐人に与えてよいかどうか本人に確認をされました。

ただし、ご本人には認知症状があって、忘れていることもあり、後見制度については、何度も説明を受けているにもかかわらず、「知らない」などの発言があり、ひやひやしたところもあります。今回は、まだスムーズな方で30分ぐらいで終わりました。

 

過去には混迷を極めたケースもあります・・・(後見制度が必要な方で、申立に協力してもらえる親族がおらず、市長申立も時間がかかるか、壁が厚くてしてもらえず、後見に近い人でしたが、やむを得ず本人申立で保佐開始申立をしたケース・・・(何度もケア会議を開き説明し、その時は納得されていましたが)調査のときには、申立したこと自体を知らない、から始まりました・・・本来は市長申立のケースと思われる)

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