高齢の夫婦
夫と妻、両者に後見等開始申立が必要となった場合、
夫と妻には、別々の成年後見人等を選任するのが望ましいか?
一般的には、
夫婦でも(夫婦だから)利害が対立する場合は考えられますので、
別々の方が望ましいというのは言えると思います。
(対外的な面、外から見た公平性、家庭裁判所への報告との関係含む)
ケアマネさんも夫婦で別々になっているケースは多いと思います。
司法書士の中には、「夫妻等の同一後見人等には就任しない」と言っている方もいます。
しかし・・・
例えば、夫婦が同居で、
家計収支に過不足がない場合や、
夫婦世帯で生活保護を受けている場合は、
同じ後見人等の方がやり易く、
(夫婦ご本人同士の意向等の対立もない場合)
同じ後見人等でも問題がないように思われます。
実際、夫婦で、同じ後見人等が選任されているケースは
専門職が就く場合でも、あります(家庭裁判所で選任はされているということ)。
ただし、
どちらかが、どちらかの扶養義務があり、
扶養しなければならないが、
家計収支がぎりぎりか、マイナスになるような場合、
判断がむずかしくなってきます。
(どちらかを優遇すれば、どちらかが不利益を被るという場合に、
同じ後見人等が判断するのが適切かどうか?)
別居で家計が別れている、
将来、別居となり、家計が別れる可能性が高い場合、
で、家計収支がマイナスとなる場合は・・・
このような場合は、別々の後見人等が就いた方がよいケースと言えます(利害が対立しているので、一人で判断がむずかしい、適切ではないという意味で)。
ただ、別々の後見人等が就いたから、うまくいく訳ではないところがむずかしい・・・
利害が対立しているから別々がよいといっても、微妙な調整が必要な場合は、(家庭裁判所の監督のもと)むしろ、一人でした方がよい場合もあるのではないかと思ったりします。
過去に、
先に、夫の方に成年後見人(別の司法書士の専門職)が就いていて、
後で、私が、妻の成年後見人になったことがあります。
夫はすでに施設に入所しており、妻は病院に入院。
夫の生活は、夫の収入でぎりぎり、余裕なし。
夫の成年後見人は、妻への生活援助は拒否、
ともに生活保護を受けることも消極的。
そこで、
妻のみが生活保護を受けるため、
夫婦だけれど、別世帯、別家計を福祉事務所に説得。
なんとか、妻のみ生活保護を受けることができた、というのがありました。
これは別々の成年後見人が就いていた(別々に財産管理をしていた)からできたと思いますが、妻の生活費(入院費)確保を急ぎでしなければならず、とても大変でした。
また、別の事例
夫は自宅で生活
妻は施設で生活していて、別々の後見人等が就いているケース
(私は夫の方の補助人、妻は別の専門職が成年後見人に就いています)
妻の成年後見人と話し合いをして、本人承諾のもと、夫の収入から一定額を妻へ生活援助として交付しています。
また、
夫婦の世帯単位で生活保護受け、夫婦ともご自宅で生活、同じ後見人等が就いているケース(利害の対立があまりなく、一人の後見人等が就いた方が業務がスムーズなケース)
いろいろあります、ケースバイケース
(ケースによっては)別々の後見人等が就いて、調整が混迷することも考えられます・・・
追
夫婦両者に同じ成年後見人が就任している場合で、例えば、子が死亡して相続が生じ、夫婦が共同相続人になるような明確な利益相反の場合は、別に特別代理人を選任することになります。