司法書士とくの日記(ブログ)

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最短で・・・(最短は最長と同じ)

株式会社の設立の相談

「急ぎで株式会社の設立をしたいのですが、依頼した場合、最短どれぐらいでできますか?」

という質問が電話にてありました。

「最短・・・?」

通常は「1カ月ぐらいはかかります」と(すこし余裕をみて)案内していますが、

「最短」と言われると「ケースバイケース」としか言いようがありません。

(また、設立の完成を法務局への申請時とするのか、会社謄本(証明書)が取得できる時点とするのかによっても異なってきます)

「定款の内容を決定して、公証人役場で定款認証をして・・・」と頭の中でぐるぐる思考がめぐり・・・

定款内容の決定に1週間、公証人との段取りに1週間、資本金の振込、設立登記申請、完了までに1週間、と考えていくと、結局、1カ月ぐらいかかるか?という感じになります。

「最短で1週間」なんて答えてしまうと、それに縛られて焦りとストレスが生じてきて、結果、ミスやトラブルのもとになるかもしれません。

 

どういう理由で急いでいるのか

どこまで会社の内容が決まっているか、発起人の数など

細々と聞こうと思いましたが、

その時、他のことでバタバタしていたこともあり、結局、

「通常1か月ぐらいかかると思います。急ぎということであれば、当方、対応はむずかしいです」とお断りしました。

「急ぎ」とか「最短で」なんて言われると、(できるだけ早く進めるにしても)断りたくなります。

 

「できるだけ早く進めるようにしますが、最短なんていう期間はわかりません」

という回答が正解だったのか?、断ってから気になったりします。

(できるだけ早く進めて結果2週間ぐらいでできる場合もあれば、1カ月以上かかる場合もあります)

なお、可能な限りの最短を考えると、定款作成、必要書類準備で1日、公証人の認証、資本金の振込で1日、その日に登記申請までできれば2日でできるということになりますが、かなり非現実的な感じになります。急ぎというニーズだけを考えれば定款認証不要の合同会社の設立の方が比較的早期にできると思います。

 

現在、政府はスタートアップ支援として、(株式)会社設立が早期にスムーズにできるよういろいろな支援を進めています。

例えば、令和6年1月10日から東京都及び福岡県の限定ですが、「定款作成支援ツール」というものを用意して、これを使用して公証人の定款認証を受ければ48時間以内に定款認証手続を完了させる試行運用が開始されています。今後、これの評判がよく、うまくいけば、全国展開されるかもしれません。

公証人の定款認証が早期設立のネックとなっているような議論がなされていますが、実務感覚ではそこまでネックとなっているようには思われません。

会社の内容の検討、決定が一番時間がかかり、意外と資本金の振込や、会社実印の作成(現在、印鑑登録は必須ではありませんが)に時間がかかったりするケースもあります。

「とにかく1日でも早く設立をしたい」というような、そんなに急ぐニーズが(本当に)あるのかどうかわかりません。

テレビ電話を利用した電子定款認証(手順) - 司法書士とくの日記(ブログ)