司法書士とくの日記(ブログ)

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株式会社設立手続の順番(1例)

株式会社の設立(発起設立、取締役会非設置会社)


1、定款作成日が平成30年8月1日
(定款に資本金(出資金)に関する定めがある場合)


2、資本金(出資金)の払込み
(発起人名義の口座への振込)が平成30年8月1日


3、発起人による取締役、代表取締役の選任が
平成30年8月1日
(定款に設立時取締役の定めがない場合)


4、公証人の定款認証が平成30年8月3日


この順番の株式会社設立はOKか?


資本金(出資金)の払込みは定款認証日以降が原則だが、
1の定款作成日以降の日で払い込みがあってもOK


発起人による取締役の選任は、2(払込み)以降の日となる。
取締役の選任は発起人の議決権の過半数で決するとなっているので、
払い込みを終了しないと議決権が確定しないため、
払い込みをした後、設立時取締役を選任するとなっている。
会社法38条)
発起人は出資の履行が完了した後、遅滞なく設立時取締役を選任しなければならない。
会社法40条)
設立時役員等の選任は発起人の議決権の過半数をもって決定する。


同日なので、2の後、3がなされたとしてOK
3の後、2の場合は問題となると思われる。


ただし、会社法38条4項の規定から考えると、
出資の履行前に発起人全員の同意により設立時取締役を選任することが
禁止されているとまでは言えないとは思われる。
ただ、2の日以降の日付で3をするのが無難。
会社法38条4項)
定款で設立時取締役、・・・として定められた者は出資の履行が完了した時に、
それぞれ設立時取締役・・・に選任されたものとみなす。


定款認証が最後
これはOKと思われる。
(昭31.5.19民事四発103号民事局第四課長電報回答)
定款認証前になされた株式の引受及び役員の選任について
株式会社の設立(発起設立)登記に当り
定款認証前に株式の引受および役員の選任がなされている場合でも
その後に認証されておれば有効として取扱って差支えないか
至急御回示願います。
回答
本月十四日付電照の株式会社の設立登記の件は、貴見のとおり。


実際、この順番の株式会社の設立登記の申請をしたが
問題なく完了している。


法務省民事局商事課発
会社法等の施行に伴う商業・法人登記事務の取り扱いに関するQ&A」3−17)
「定款認証前の日付で払込がなされた場合であっても、
『発起人間で出資に係る金銭の払込額を定めた後に払込がなされたときは』、
設立に際して出資される財産の価額に相当する出資があったものと解することができるので、
『払込額について定めた定款作成日又は発起人同意書の作成日以降に払込があった場合については、
設立登記の申請を受理しても差し支えない』」
(過去ブログ)
http://d.hatena.ne.jp/tokucyan-siho/20180328


(商業登記 最近の改正)
http://d.hatena.ne.jp/tokucyan-siho/20161218