司法書士とくの日記(ブログ)

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他人を信頼できるかどうか(信頼できる人がいるかどうか)

親が将来、認知症になった際、親の(親のための)財産利用が困難となることを心配され、子が相談に来られることがあります。

しかし、親御さんは、現在、親の財産はすべて自分(親)で管理されており、用心深い方で(子を含め)他人に財産を明かすことはしない、自分のことは自分でする、心配無用という状態です。

親御さんがこの状態であれば、あくまで親御さんが当事者なので、何か対策するということは困難です。

(もし認知症などで判断能力が低下した際に後見、保佐、補助の法定後見を検討することになります)

 

しっかりしている(判断能力が十分ある)うちに自分の将来や財産の使い道、使い方を設計して(認知症などで判断能力が低下しても)それを実現できる法的な手段として、「任意後見」や「民事信託」という制度があります。

両方とも契約をすることになりますので、(任意後見契約の方がすこし緩やかだと思いますが)基本「しっかりしている(判断能力が十分ある)」ときにするものになります。

親御さんが契約の当事者になりますので、親御さんが理解、納得して主体的に動いてもらう必要があります。

「任意後見」は、信頼できる者を任意後見受任者として契約し(親=委任者と、任意後見受任者とで契約)、認知症などで判断能力が低下したときに家庭裁判所へ任意後見監督人選任申立をして効力を発生させます。任意後見人に付与する代理権は、財産管理等だけではなく身上監護(身上保護)も含めることができます。

「民事信託」は、家庭裁判所の関与はなく、信頼できる者を受託者として契約し(親=委任者と、受託者とで契約)、直ちに効力を発生させることができ、その後、委任者の判断能力が低下しても契約の効力を維持させることができます。

 

三者と契約をして財産管理等をしてもらうのが心配

信頼できる人がいるかどうか(他人を信頼することができるかどうか)の問題

「任意後見」は、将来、判断能力が低下した際に備えてするもので、任意後見受任者になってもらうことができる人が身近(親族等)にいなくても、弁護士や司法書士などの専門家に任意後見受任者になってもらうことを頼むことができますが、

「民事信託」については、それができないので、財産を託してもよいと思える信頼できる人が身近(親族等)にいるかどうかが重要になってきます。それがいない方は民事信託を利用することはできません。

自分の財産については、死ぬまで自分で管理して好きなように使いたい、他人に委ねるなんてしたくない、とんでもない(認知症なんかにはおそらくならん・・・)という方は、

民事信託はもちろん、任意後見についてもかなり抵抗があると思われます。任意後見は自分の将来の設計をあらかじめ決めて自分の判断能力が落ちてきたときでも、その設計を実現してもらうことができるものですが、(任意後見監督人が付いて監督してもらえるとはいっても)他人を信頼できない方は(認知症になったときに備えて・・・とはいっても)利用はなかなかむずかしいのではないかと思われます。

民事信託は、任意後見のように任意後見監督人や家庭裁判所の監督がないので、(一応、契約の中で信託監督人や受益者代理人を決めることはできますが)より利用はむずかしくなります。

後見制度は利用できず - 司法書士とくの日記(ブログ)

 

(私が嫁さんを信頼して)嫁さんに、収入の管理すべてを任せてお金のやりくり家計を委ねているのは、夫が委託者兼受益者で(自益信託)、嫁さんが受託者のような感じで民事信託に似ている??・・・