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公告をする方法2

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さて、会社の公告をする方法について2

公告をする方法 - 司法書士とくの日記(ブログ)

・定款に記載や登記されている「公告をする方法」=主に株主あてへの公告

株主は、定款に記載や登記されている、この公告をする方法は(一応)知っているので、注意して見るだろうと考えられる。

これは、決算公告を除き、ほとんどする機会はない(特に株主の少ない小規模の会社の場合)。

・資本金減少(減資)、解散などの際にする債権者保護手続きの債権者あての公告=必ず「官報公告」

債権者保護手続きが必要な場合、会社の債権者は、定款や登記されている公告をする方法は一般的には知らないので、それとは関係なく、必ず官報で公告する。

 

大分前の話ですが・・・

(まったく知らない)ある士業の先生から、

突然、次のようなメールが送られてきたことがあります。

文章は簡略化しています。

 

(メール)

減資の手続きをお願いしたいと思っています。

官報公告に代えて、日刊紙公告、と定款上定められているのですが、この手続きもお願いできるのでしょうか?

 

(当方の返信メール)

日刊新聞紙の公告は経験したことがありません。

代理店を通じないといけないとか、新聞によってはハードル(費用も含め)が高いかもしれません。

定款上、登記上の会社の公告をする方法として日刊新聞紙公告になっているのでしょうか?

減資の債権者保護手続きは、官報公告と個別催告になります。

日刊新聞紙の公告は、債権者への個別催告省略のための公告(二重公告、ダブル公告)や、決算公告になりますが、これのことでしょうか?

 

(相手からのメール)

官報にはなっていませんので、官報公告は不要です。

日刊紙公告への掲載手続きはしてもらえないということでしょうか?

それでは依頼しないことにします。

 

(当方)

??

 

その後、メールはなく、これでやり取りは終了しています。

 

この士業の方は、減資の場合、公告が必要という知識はあって、このようなメールをされたのだと思いますが、減資の場合、定款に記載や登記されている「公告をする方法」で公告することはあまりありません。

減資で必ず必要となる、債権者あての公告は、定款や登記で定められている「公告をする方法」でするのではなく、必ず「官報公告」になるということをご存じなかったようです(勘違いしやすいところではあります)。

もし、定款や登記で定められている「公告をする方法」もするとしたら、債権者への個別催告省略のための、官報公告と公告をする方法で定められた日刊新聞紙(電子公告になっている場合は電子公告)への二重公告(ダブル公告)をするケースになります。また、債権者あて官報公告には貸借対照表の計算書類の記載が必要になりますが、(公告をする方法で定められた)日刊新聞紙で決算公告しているのであれば、その箇所を記載するか、まだ決算公告していないのであれば、最終の貸借対照表の要旨を官報にいっしょに掲載するか(同時公告)、別途(公告をする方法で定められた方法で)決算公告をするか、になります。

多くの場合、(債権者が多い場合は別ですが)二重公告(ダブル公告)はせず、個別催告をして、(決算公告をしていない場合)官報に最終の貸借対照表の要旨をいっしょに記載する同時公告をします。ですから、多くの場合、(定款や登記で定められている「公告をする方法」はせずに)「官報公告のみ」となります。

当方の説明不足はあったと思いますが、まったく知らない士業の方で、相手の知識等は判らず、このようなやり取りになってしまいました。やり取りはすぐに終了しましたが、なぜか印象に残っています。

 

株式会社と異なり、決算公告義務がない有限会社や合同会社などは、減資などの際の債権者保護手続きの官報公告に貸借対照表の計算書類の記載は不要で、有限会社の場合は、「なお、最終貸借対照表の開示状況は次のとおりです。計算書類の公告義務はありません。」と記載し、合同会社の場合は、開示状況の記載自体が不要です。

 

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