試しに・・・
ある会社の設立登記で
預金口座の通帳合綴の
払込があったことを証する書面
や
ある会社の
解散・清算人選任の登記で
株主の氏名又は名称、住所及び議決権数等を証する書面(株主リスト)
に
押印なし(契印もなし)で、登記申請してみました。
通帳はコピーしたもの、
その他は記名なのでパソコンから打ち出したものそのままです。
問題なく登記は完了しました。
さて、代表取締役の交替
取締役A
取締役B
取締役会非設置会社(取締役会のない会社)
定款で「取締役を複数名置く場合には、株主総会の決議により代表取締役1名を定める」ことになっている
今回、代表取締役Aが(取締役の地位はそのままで)代表取締役の地位のみ辞任
代表取締役が、取締役の互選(定款の規定要)ではなく、定款や株主総会で選定されている場合、代表取締役の地位のみ辞任は(自らのみでは)できず、株主総会において定款変更決議や、辞任承認決議が必要になります(取締役と代表取締役の地位は一体)。
この場合、登記の添付書類として、辞任の承認決議等をした株主総会議事録と株主リスト(証明書)は必要になりますが、辞任届は不要とされています。
今回、辞任する代表取締役が法務局に印鑑届出をしている者である場合、商業登記規則の61条8項の規定(印鑑届出をしている代表者の辞任の場合の辞任を証する書面への押印)の適用があるので、次のどちらかは必要になると思われます。
・辞任届を添付して、それに会社届出印(法務局に提出、登録している印鑑・会社実印)か、もしくは個人の実印(+印鑑証明書)を押印する。
・株主総会議事録(これが辞任を証する書面になると思います)に辞任する者が、会社届出印か、もしくは個人の実印(+印鑑証明書)を押印する。
(辞任する代表取締役が総会に出席しておらず、株主総会議事録に押印しない場合は、辞任届を添付することになると思います・・・)
実務的には辞任届を添付して、それに会社届出印を押印しておくのが無難かなと思いましたが、(よく考えると)この場合(辞任の代表取締役が定款や株主総会で選定されている場合)は、辞任を証する書面というと、辞任届ではなく、辞任承認決議等をした「株主総会議事録」がそれに当たると思います・・・
(辞任届を添付せず、辞任の内容の記載がある株主総会議事録を援用する場合も同様)
ですから、辞任届を添付して、それに会社届出印か、もしくは個人の実印(+印鑑証明書)を押印していても、「株主総会議事録」に、それをしていない場合はダメなのではないか?・・・と思ったりもします。
法律の趣旨(勝手に代表者交替の登記をされないようにする)からは、どちらでも良いように思いますが、、
一番、無難なのは、
会社届出印を押印した「辞任届」(辞任を証する書面の一部?)を添付
(辞任承認等や新たな代表取締役選任決議をした)「株主総会議事録」への押印は、新たな代表取締役の選任決議もありますので、辞任のAは、(議長や出席した取締役として)会社届出印を押印
の両方しておく
になります。
なお、株主リスト(証明書)の証明権者は、(新たな代表取締役Bの就任日が総会日の後であっても)登記申請をする新しい代表取締役Bになります。
新たな代表取締役Bの就任承諾書は不要(定款の規定による取締役の互選ではないから)
新たな代表取締役の印鑑届出は必要(個人の印鑑証明書要)
商業登記は、実体上は複雑でないと思われるものでも、登記申請については、添付書類や押印の関係が複雑で、結構神経を使います・・・
(ちなみに、定款の規定による取締役の互選で選定されている代表取締役(取締役と代表取締役の地位が分離)の場合は、自らのみ一方的な意思表示で辞任でき、就任する場合は代表取締役の就任承諾書が必要など、株主総会で選定された代表取締役とは異なってきます)
商業登記規則
8 代表取締役若しくは代表執行役又は取締役若しくは執行役(登記所に印鑑を提出した者がある場合にあつては当該印鑑を提出した者に限り、登記所に印鑑を提出した者がない場合にあつては会社の代表者に限る。以下この項において「代表取締役等」という。)の辞任による変更の登記の申請書には、当該代表取締役等(その者の成年後見人又は保佐人が本人に代わつて行う場合にあつては、当該成年後見人又は保佐人)が辞任を証する書面に押印した印鑑につき市町村長の作成した証明書を添付しなければならない。ただし、登記所に印鑑を提出した者がある場合であつて、当該書面に押印した印鑑と当該代表取締役等が登記所に提出している印鑑とが同一であるときは、この限りでない。
なお、