司法書士とくの日記(ブログ)

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事業用定期借地権について(その1)

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借地借家法の23条の事業用定期借地権の設定登記の依頼がありました。
土地に、ある施設を建てて、事業を経営するために事業用定期借地権を設定
これは、必ず公正証書で契約をすることになるので、公正証書が作成さていました(この契約には当方は関与していません)。
 
公正証書を見ると・・・
借地借家法第23条第2項の事業用定期借地権で、「賃借権」となっています。
(借地権は、地上権か賃借権かのどちらかになりますが、この契約は賃借権)
借地借家法第23条第2項とすると、存続期間が10年以上、30年未満となります。
そして、公正証書に記載された借地権(賃借権)の存続期間を確認すると・・・
「〇〇施設を開設する日から30年間」となっています。
〇〇施設を開設する日から、とあり、期限の始期が確定日になっておらず、曖昧です(不明瞭)。ここは確定期日になっているのが一般的ですが、そうなっていません。
また、30年間とすると、借地借家法第23条第1項になるのではないか?
2項は「30年未満」だから
 
借地借家法第23条第1項は、
存続期間を30年以上50年未満として借地権を設定する場合
 
借地借家法第23条第1項の登記申請と、借地借家法第23条第2項の登記申請では登記事項がすこし異なるので、この辺、はっきりしないと登記申請ができません。
また、存続期間も登記事項ですが、この始期が確定期日でない場合、それが許されるのか?また、どのように登記するのか?
 
公正証書の作成をやり直してもらうことになるか? 
つづく・・・
 
23条1項の登記申請
目的 賃借権設定
原因
目的 借地借家法第23条第1項の建物所有
賃料
支払時期
存続期間
敷金
特約  借地借家法第23条第1項の特約
(契約の更新がない、建物の築造による存続期間の延長がない、13条の建物買取請求をしないの3点すべて特約している場合)
権利者
義務者
 
23条2項の登記申請
目的 賃借権設定
原因
目的 借地借家法第23条第2項の建物所有
賃料
支払時期
存続期間
敷金
(特約のところは、「譲渡、転貸できる」など、もし、法定以外のものがあれば記載する。法定のものは登記しない)
権利者
義務者

 

借地借家法(事業用定期借地権等)

第二十三条 専ら事業の用に供する建物(居住の用に供するものを除く。次項において同じ。)の所有を目的とし、かつ、存続期間を三十年以上五十年未満として借地権を設定する場合においては、第九条及び第十六条の規定強行規定にかかわらず、契約の更新及び建物の築造による存続期間の延長なく、並びに十三条の規定(建物買取請求)による買取りの請求をしないこととする旨を定めることができる

 専ら事業の用に供する建物の所有を目的とし、かつ、存続期間を十年以上三十年未満として借地権を設定する場合には、第三条から第八条(存続期間、更新に関する規定)まで、十三条及び第十八条(更新後の建物の再築の許可)の規定は、適用しない。

 前二項に規定する借地権の設定を目的とする契約は、公正証書によってしなければならない

 

(賃借権の登記等の登記事項)
第八十一条 賃借権の登記又は賃借物の転貸の登記の登記事項は、第五十九条各号に掲げるもののほか、次のとおりとする。
一 賃料
二 存続期間又は賃料の支払時期の定めがあるときは、その定め
三 賃借権の譲渡又は賃借物の転貸を許す旨の定めがあるときは、その定め
四 敷金があるときは、その旨
五 賃貸人が財産の処分につき行為能力の制限を受けた者又は財産の処分の権限を有しない者であるときは、その旨
六 土地の賃借権設定の目的が建物の所有であるときは、その旨
七 前号に規定する場合において建物が借地借家法第二十三条第一項又は第二項に規定する建物であるときは、その旨
八 借地借家法第二十二条前段(普通の定期借地権)、第二十三条第一項(事業用定期借地権)、第三十八条第一項前段若しくは第三十九条第一項(定期建物賃貸借、取り壊し予定の建物の賃貸借)、高齢者の居住の安定確保に関する法律(平成十三年法律第二十六号)第五十二条又は大規模な災害の被災地における借地借家に関する特別措置法第七条第一項の定めがあるときは、その定め