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配偶者居住権設定の前提の所有権移転登記(通達)

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配偶者居住権(登記に関してすこし) - 司法書士とくの日記(ブログ)

今回の通達

法務省民二第744号 令和3年4月19日

配偶者居住権の設定の登記の前提としてする居住建物(被相続人の財産に属し、その配偶者が相続開始の時に居住していた建物をいう。以下同じ。)の所有権の移転の登記の申請において、配偶者に配偶者居住権を取得させ、子などの法定相続人に当該居住建物を相続させる旨の記載がされた遺言書を登記原因証明情報として提供する場合にあっては、遺言書の全体の記載から当該居住建物の所有権に帰属する部分を特定財産承継遺言(遺産の分割の方法の指定として遺産に属する特定の財産を共同相続人の一人又は数人に承継させる旨の遺言。いわゆる相続させる旨の遺言のうち遺産の分割の方法の指定がされたもの。)の趣旨と解することができる場合には、当該特定財産承継遺言に基づいて当該登記を申請することができる。この場合における所有権の移転の登記の申請は、登記原因を「相続」とし、登記権利者が単独で申請することができる。

なお、当該遺言書の全体の記載から当該居住建物の所有権の帰属に関する部分を遺贈の趣旨と解することができる場合には、当該遺贈に基づいて当該登記をすることができること、また、配偶者居住権を特定財産承継遺言によって取得することができないことは、従前のとおりである。以上

 

配偶者居住権の設定の前提となる建物の所有権の移転登記は、遺言の場合でも、「相続させる」という、よくあるパターンの場合、「相続」で登記できるということか。

前の通達で、負担付遺贈と解して、「相続」ではなく、「遺贈」で登記するものと理解していた。

ただ、なお書きの「遺贈の趣旨と解することができる場合には・・・」は、前の通達との関係ですこし判りにくい?「相続」「遺贈」どちらでもできるということだろう。

 

前の通達

法務省民二第324号 令和2年3月30日

・・・

また、配偶者居住権の設定の登記の前提となる相続や遺贈を原因とする所有権の移転の登記の申請において、配偶者に配偶者居住権を取得させ、子などの法定相続人に居住建物を相続させる旨の記載がされた遺言書を登記原因証明情報として提供する場合にあっては、遺言書の全体の記載からこれを遺贈の趣旨と解することに特段の疑義が生じない限り、居住建物の所有権の帰属に関する部分についても遺贈(負担付遺贈)の趣旨であると解して、当該所有権の移転の登記を申請する必要がある。この場合における所有権の移転の登記申請は、登記原因が「遺贈」となることから、相続人(受遺者である相続人を除く。)を登記義務者とし、受遺者(受遺者である相続人)を登記権利者とする共同申請によることとなるところ、遺言執行者があるときは、当該遺言執行者は、登記義務者の立場からその資格において当該登記を申請することとなる。

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