司法書士とくの日記(ブログ)

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改正民法(債権法)1

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丹波篠山のマスコット、まるいの、まめりん、ちゃちゃん)

 

新型コロナの影響

当方が成年後見人等をしている方への訪問ついて

自宅にいる方については、お金を届けたり、様子を見に行ったりしていますが、施設にいる方については、面会禁止になっているので、ほぼ訪問することはなくなっています。

その他、仕事減少傾向など(具体的には書けませんが)いろいろ影響は受けています。

 

家族について

長男(別居)は勤務日数、勤務時間が減っているということです。長女(別居)の勤務先は完全に休みになっています(一人で家にいるのは嫌だといって、こちらの実家にころがりこんでいます)。

二男は中学生ですが、学校は長期の休みで、家でゲームをよくしています。ただし、学習については、前からベネッセの進研ゼミをやっていたので、現在の学校が休みの期間も、ネット学習で「今日は6時間勉強した」とか言って、結構、学校に行っているときと同じようにできているようです。

 

(当方、あまり関係ありませんが)司法書士試験について

民法の大きな改正など、いろいろな法改正があり、また、新型コロナの影響で7月5日の試験実施ができるかどうか不明(受験申込受付が期間延長される)など、司法書士試験の受験生は大変だと思う・・・

 

さて、民法の債権法のところの改正について

令和2年4月から施行されているので、(実務で)気になるところをコラム的に記載していきたいと思います。

 

<病院に関係するもの>

入院する際、ご家族等に対して、「入院誓約書」や「入院申込書」などの書類に「連帯保証人」として記入が求められたりします。前は、この書類には、そのご家族が(連帯保証人として)負担することになるかもしれない費用(入院費、治療費等)の上限の記載がありませんでした。しかし、民法改正の令和2年4月1日からは、この上限の記載が必ず必要になりました。この上限を「極度額」といいます。民法改正前は、保証する際に保証する額がはっきりしない場合(一定の範囲の不特定の債務の保証)の「極度額」の記載が必要なケースは、金銭の貸付や手形割引に限られていましたが、今回の改正でその範囲が広げられ、例えば、このような入院の際の保証や、家屋の賃貸借契約の保証なども対象になりました。

 

個人根保証契約

改正前の民法465条の2

一定の範囲に属する不特定の債務を主たる債務とする保証契約(・・・)であってその債務の範囲に金銭の貸渡し又は手形の割引を受けることによって負担する債務(以下「貸金等債務」という。)が含まれるもの(保証人が法人であるものを除く。・・・)の保証人は、主たる債務の元本、主たる債務に関する利息、違約金、・・・極度額を限度として、その履行をする責任を負う。

極度額を定めない場合は効力を生じない。

 

民法465条の2

一定の範囲に属する不特定の債務を主たる債務とする保証契約(・・・)であって保証人が法人でないもの(・・・)の保証人は、主たる債務の元本、主たる債務に関する利息、違約金、・・・極度額を限度として、その履行をする責任を負う。

極度額を定めない場合は効力を生じない。

 

ただし、施行日(令和2年4月1日)前に締結された保証契約に係る保証債務については、なお従前の例による(附則21条1項)

 

このように新民法では、

金銭の貸渡し又は手形の割引を受けることによって負担する債務に限られないこととなりました(例えば、家屋の賃貸借契約の保証や、入院医療費についての保証、身元保証契約なども含まれます)。

 

あくまで上限ですが、あまり高く、例えば100万円なんかにしてしまうと、保証を躊躇され、入院誓約書などの書類に記入してもらえなくなるので、極度額を30万円ぐらいにしている病院が多いように思われます。

なお、専門職の成年後見人はご本人の入院の際、連帯保証はできません(これまで、保証文言が入院申込書の中にあって、バタバタの中、(気づかず、気にせず?)病院に求められるまま流れで記入したりしていたことはあったかも?しれませんが、これからは「極度額」が明記されていますので、気づかずそのままサインしてしまうということはなくなるかと思います・・・)。

 

治療費の消滅時効について

改正前の民法では、病院の治療費(入院治療費など)については、短期の消滅時効が定められており、3年で時効になっていました。

民法では、この職業別の短期消滅時効の規定は廃止され、一般規定での5年になっています。

 

消滅時効

改正前の民法170条

次に掲げる債権は3年間行使しないときは消滅する。

1 医師、助産師又は薬剤師の診療、助産又は調剤に関する債権

(この規定は廃止。職業別短期消滅時効の廃止)

 

民法166条

債権は、次に掲げる場合には、時効によって消滅する

1 債権者が権利を行使することができることを知ってから5年間行使しないとき

2 権利を行使することができる時から10年間行使しないとき

(改正前の民法は、2項の「できる時から10年」(改正前民法 166条、167条)はありましたが、1項の「知ってから」という主観的なものはありませんでした(不法行為による損害賠償請求権ではありましたが・・・改正前民法 724条))

 

(行使できる時から)3年→(知ってから)5年に延長

(病院の治療費などは通常、行使できる時=知ったとき、だと思います)

 

ただし、施行日(令和2年4月1日)前に生じた債権(施行日以後に債権が生じた場合であって、その原因となる法律行為が施行日前にされたときを含む。以下同じ。)におけるその債権の消滅時効の期間については、なお従前の例による(附則10条4項)

実際に改正民法での消滅時効(時効期間)が適用になるのは大分先になります。当面、改正前の民法適用です(施行日前に生じた債権)。

 

(つづく)

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