司法書士とくの日記(ブログ)

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仮差押え

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最近、結構しんどい仕事ばかり続いたので、
(できれば)
しばらくはしんどいことはしない春?・・・でいこうと思います。
 
さて、
不動産の登記で、「仮差押え」の登記が入っていることがあります。
それも大分前の(古い)もので、そのままになっている場合があります。
 
多くが、本案の裁判がなされず、本差押、競売へと進んでいないことが考えられます。
中には、少ない持分だけに仮差押えがなされているなど、もともと競売が期待できないようなものもあります。
本案の裁判はなされたけれども、本差押・競売まで進んでいないことも考えられます。
 
仮差押えをする理由としては、
通常「勝手に処分されないようにする」(債務者の財産確保)というのがメインだと思いますが、
その他、(仮差押え対象の不動産は、財産価値が少なく、本差押・競売までするつもりはないけれども)、消滅時効の完成を回避する」ということもあります。
 
民法(令和2年4月1日施行の新民法
仮差押えは、その事由が終了した時から6カ月を経過するまでは時効は完成しない(民法149条)。
(改正前は時効中断事由になっていました)
 
その事由が終了した時とは?
 
民法改正前の判例ですが、
本執行されずに、不動産に仮差押えの登記がついたままの場合でも、
執行保全の効力(登記)がある限り、時効の中断効果は継続する、となっています。
(平成10年11月24日最判
 
仮差押えの登記をしておけば、債務者から起訴命令などの対抗手段を取られない限りは、(本案の訴訟をしなくても)とりあえず消滅時効の完成を止めることができます。
本案の訴訟がなされず(もしくはなされたとしても)、本差押に進まない場合は、いつまでもこのまま(仮差押えの登記が残ったまま)ということになります。
 
令和2年4月1日施行の新民法になってからも、仮差押えの登記がある限り、時効猶予の効果は継続する、というのが同じかどうか不明なところはありますが、今のところは、これについては、変更なしという取扱いになっています。
 
(仮差押え等による時効の完成猶予)
第百四十九条 次に掲げる事由がある場合には、その事由が終了した時から六箇月を経過するまでの間は、時効は、完成しない。
一 仮差押え
二 仮処分
 
経過措置
時効中断・停止事由は、新民法施行日前に生じた事由であれば旧法、施行日後に生じた事由であれば「更新」「完成猶予」事由として新民法が適用(附則第10条第2項)。
 
なお、
この(古い)仮差押えを抹消する方法としては、次のものが考えられます。
いずれにせよ、裁判所からの嘱託による抹消登記になります。
 
債権者に裁判所へ取下げをしてもらう(債権者が判明していて債権者が応じる場合ですが)。
弁済等で債務が消滅していることを証明できる場合は、裁判所へ取消しを申立。
本案がなされていない場合は、裁判所へ起訴命令を申立して、不起訴による取消。
・・・
など