司法書士とくの日記(ブログ)

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別れ(分かれ)の取引(京都方式)

不動産取引の登記で、

売主側と買主側で別々の司法書士代理人として

登記申請をする場合があります。

 

売主側の司法書士が売主の住所変更登記、担保抹消登記をして、

買主側の司法書士が、住宅ローンなどの担保設定登記をします。

売買の登記(所有権移転登記)は、共同代理か、もしくは復代理ですることになります

(共同代理の場合は、売買の登記申請書は、買主側の司法書士が作成し(事前に売主司法書士が買主司法書士へ、売主司法書士の事務所、連絡先電話番号や、登記完了証交付を郵送とするのかどうかなどを伝えておく)、取引場所で売主側の司法書士が義務者代理人としてその申請書に押印します)。

 

こちらの関西方面は、

この売主と買主で別々の司法書士になる

いわゆる「別れ(分かれ)」(「京都方式」とも言われます)

は今は当たり前のようになされています

(最近ではこちらの方が多いのではないかと思います)。

 

ただ、関西方面ではない地域になると

あまり一般的ではないようで、

 

先日、

遠方の不動産で取引場所も遠方になる取引があり、

私が売り側の司法書士として関与予定でしたが、

買い側の(その地元の)司法書士の方が

「そんなややこしいことできない」ということで、

不動産仲介業者に圧力をかけ、

売り側もその司法書士がするということになりました。

私は排斥されたかたちです。

 

もともと、遠方なので、

(依頼があった際に)

買いの司法書士に任せた方がよいのではないか

とアドバイスしていた案件でした。

 

しかし、

売主さんが当日、取引の場に行けない。

権利証書(登記済証)を紛失しており、

代理人司法書士の本人確認情報作成が必要ということで、

当方が本人確認も含め売主代理人になるということで進んでいました。

 

買いの司法書士から電話があり、

「復代理で」と言うので

私が「本人確認情報を作成するので、共同代理になります」

というと「共同代理?・・・(法務局と相談・・・ブツブツ・・・)」

その司法書士は、本人確認情報を作成する場合、通常、

復代理はできないことを知らなかったようです

(復代理でも申請書に義務者代理人として記載があり押印しておけばできるようですが、それであれば共同代理と変わりないので、通常、共同代理でします)。

本人確認情報を作成しない場合でも、本人確認の関係で、復代理はあまりなく、

共同代理(売買の登記を権利者代理人と義務者代理人で申請)ですることがほとんどです。

 

その後、その司法書士と連絡をとっても、

「仲介業者にまかせているから、そちらと話をして」

ということで話ができず、

買いの仲介業者とはなかなか連絡が取れず、

結局、「売りの司法書士がどかないと取引できない」状態となり、

買い側の司法書士ですべてすることになりました。

 

(相手の司法書士がいやな感じでしたし、むしろ、当方なくなってほっとしましたが)

売りの仲介業者に「売主本人が行かないのに大丈夫か?」確認すると、

仲介業者の方で実印を預かって、もってきてくれればよい

ということになったと言われました。

(そんなんでいいの?)本人確認等どうするのだろうか?

 

私なんかは、逆に

売り側に(しっかりした)司法書士が就くと、

必要書類なんかは間違いなく揃えてもらえるので、

安心して取引ができます。

売り側司法書士と買い側司法書士で、

お互い(確認すべきことは確認し)

協力してしていく感じです。

 

ただ、ネックは、

やはりオンライン申請がやりにくいということ。

「別れ(分かれ)」になると、

(復代理という形式をとると、申請する代理人は、買主の代理人のみとなるので、オンライン申請はまだ可能ですが)

共同代理の場合、今のところはまだ、当然、書面申請で、という場合が多いです(暗黙の了解のような・・・)。

共同代理でオンライン申請する場合は、代理人同士でデータのやりとりが必要となり、(頭の中での)事前の綿密なシミレーション(リスク管理を含む)や、お互いの了解が必要となり、まだ壁が高い・・・(失敗の許されない取引で、慣れた書面申請という方法があるのに、あえて(実験的にでも)オンライン申請してみようとはなかなかならない・・・)。

 

(注)

復代理とは、本人から委任を受けた代理人(復代理人選任の権限含む)が、

その委任事務を他の人(復代理人といいます)に委任すること。

代理人は、代理人から委任を受けますが、

代理人代理人ではなく)あくまで本人の代理人です

(復代理人も本人の代理人になります)。

 

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