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支払督促と消滅時効

支払督促と消滅時効(メモ)

民法第169条

確定判決又は確定判決と同一の効力を有するものによって確定した権利については、10年より短い時効期間の定めがあるものであっても、その時効期間は10年とする。

改正前民法第174条の2と同じ

 

確定判決と同一の効力を有するものの中に「(確定した)仮執行宣言付支払督促」があります。

 

支払督促の申立てをされた時点ですでに消滅時効が完成している場合

例えば消費者金融の会社から借入をしていたが、長年、返済できないままでいた場合

最後の返済から5年超が経過しており、その間、時効中断事由(更新事由)がなく、消滅時効が完成している場合

消滅時効が完成した後に、支払督促が申立てられた場合でも、(消滅時効の援用はもちろん)異議申立など何もしないままであれば、支払督促に仮執行宣言が付、それが確定してしまいます。

そして、民法第169条からすると、時効期間は10年に・・・?

 

しかし、支払督促には「既判力」がないとされています。確定判決の場合は、この既判力により、訴訟の時に主張することができた事由があったとしても、その時に主張せずに判決が確定してしまった場合は、(後での)その主張はできなくなります。

支払督促の場合は、(既判力がないので)これができるということになります。

すなわち、支払督促の申立された当時に5年超で消滅時効になっていたのであれば、債務名義となる(確定した)仮執行宣言付支払督促が取得されていたとしても、執行される段階など、後であらためて、(請求異議の訴えなどで)その消滅時効を主張することができるということになります。

中断・猶予更新事由に支払督促が入っていますが、これは、時効完成のことで、時効完成については、既判力や、信義則・時効の利益の放棄の問題となります。

遡って、支払督促された当時に主張することができた事由(消滅時効)を主張できるとすれば、時効期間については、当時の時効期間(5年)で、それが、確定判決と同一の効力を有するもの・確定した仮執行宣言付支払督促を取得したのだから、10年だ・・・、とはならないと思われます。

もちろん、支払督促された時点で消滅時効になっていない(完成していない)場合は、支払督促は、中断・猶予更新事由となり、仮執行宣言付支払督促の確定により、時効は中断・更新され、時効期間も10年となります。

http://www.amy.hi-ho.ne.jp/sakai-siho/hanketu.pdf

 

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