司法書士とくの日記(ブログ)

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死後事務など(民法改正)のこと

法務局や被後見人さんのところや
いろいろバイクで回っていたら
ラクラしてきて頭が痛くなりました。
熱中症かなと思います。
腕はひどい日焼けになっています。
(過去ブログ)
http://d.hatena.ne.jp/tokucyan-siho/20140716
http://d.hatena.ne.jp/tokucyan-siho/20140711


ところで、
10月13日施行の民法改正のことですが、


被後見人の方がお亡くなりになった場合、
必要があり、相続人の意思に反することが明らかなときを除いて
一定の死後事務が成年後見人にてできる旨の
規定がなされました。


その中に
「被後見人の死体の火葬又は埋葬に関する契約の締結」
があるのですが、
これが「家庭裁判所の許可」を要件としています。


最初これを見たとき「えっ!」と思いました。
これは良い意味での驚きではなく、
「やっかいなことになった」「なんでこんな規定?」という
マイナス感情の驚きでした。


親族の方が関わりを拒否している
(もしくは親族がいない)被後見人の方が
お亡くなりになった場合、
遺体の引き取りや火葬、埋葬の事務は
成年後見人(司法書士等の専門職)が
せざるを得ないケースがあります。


被後見人の方が病院でお亡くなり、
親族に連絡を取りましたが、関わりを拒否されました。
病院からは「すぐにご遺体の移動をお願いします」と言われ、
市に連絡を取っても、成年後見人の方でなんとかしろ
という対応でしたので、
やむを得ず、成年後見人(私)が葬儀業者に連絡をし、
遺体の引き取り、安置を依頼しました。
そして、火葬をして、
(その方は生前納骨堂の契約されていましたので)
納骨までの手続きをしました。
このように遺体の引き取り、火葬は成年後見人が
せざるを得ないケースが多くあります。


これを「家庭裁判所の許可を取ってからしろ」
というのは現実的にできるのかな?と危惧を抱いた次第です。


通常、遺体の引き取りや安置は、火葬を前提に
業者に依頼することになります。
一番、急を要する事務になります。


家庭裁判所の許可を得てからでないと
火葬に関する契約の締結ができないとなると
(それでなくても死亡時はいろいろバタバタしているのに)
成年後見人にとっては負担が増えただけという感じです。


なぜ、このような規定になったのか?
私の理解不足なのか今のところよくわかりません。


火葬などの事務は、義務や好きでやっていることではなく
する人がいないのでやむを得ずやっていることなので
それを家庭裁判所の許可まで必要となると、
「家裁の許可まで必要になりましたので、成年後見人としては
できなくなりました。親族か市の方でやってください」
となり、成年後見人はやらない方向への改正規定なのだろうか?
と考えたりします。


許可を要する行為→許可がなければできない行為
成年後見人は原則できない行為
成年後見人はできるだけしないようになる
(許可を得てまでしようと思わない)
結果、成年後見人はしないようになる
(そうではないと思うが、そう解釈したくもなります)


今までは明確な権限がない状態
(応急処分義務か事務管理と理屈をつけて)
でしていたことなので、
その権限が明確になったのは良いのですが、
家庭裁判所の許可」がひっかかります。


(同職の中に、被後見人のお骨を納骨できず、
司法書士事務所にお骨を保管したままの方がおられますが、
このような場合、家裁の許可を受ければ
成年後見人であった者が適宜納骨できるという
ことだろうか?)


また、もう一つの
被後見人の郵便物につき
成年後見人への配達が可能となる規定ですが、
6か月という短い期間であることから、
当初の財産調査の場面が想定されていると思われます。
これは、
被後見人の通信の秘密が害される恐れがあるため
厳格な手続きになることが予想され、
(個別送付先変更ができない)
臨時福祉給付金の通知を受け取りたい
過去ブログ
http://d.hatena.ne.jp/tokucyan-siho/20160418
などの場合は利用できないと思います。
現在、すでに私が成年後見人になっている方については、
あまり必要性を感じず、たぶんこの規定が施行されても
利用(請求)はしないと思います。