司法書士とくの日記(ブログ)

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徘徊癖のある方の入院

認知症で徘徊癖のある方が
入院した場合、
その徘徊への対応が可能な精神病院等を除き、
(一般の)病院からは、
必ずと言っていいぐらい付き添いが求められます。
(看護師さんは特定の患者さんを常に見守ることは
できませんので、ウロウロされ他の病室に入ったり、
病院を出て行こうとされた場合、それに対応することは
困難です)


24時間付き添いが必要とか、
もともと、付き添いが可能なご家族がおられない場合は、
家政婦さんを雇うことになります。
家政婦紹介所がありますので、そこに依頼することになると
思います。
病院での付き添いですので、
もちろん介護保険を使うことはできません。
夜だけの付き添いで大丈夫としても、
1晩、通常17,000円〜20,000円ぐらいはかかります。
1ヵ月の入院になると、月50万円は超えてしまいます。
他の患者さんに迷惑をかけるような場合は、
個室対応になり(個室で付き添いが必要)、
入院費自体が増える場合もあります。


それでは、
(付き添いが可能な家族がおらず)
経済的に家政婦さんを雇うことができない場合はどうなるか。
これは病院によって異なるとは思いますが、
まず、退院を求められます。
自宅での生活や療養がむずかしくなっているような
こちらの事情は、
入院している病院からは、ほとんど考慮してもらえません。
特に救急搬送などで急に入院したところはそうなります。
(入院の際の医師や受付での説明と、看護師サイドの説明とでは
かなり温度差があります。看護師サイドになると、かなり厳しいことを
言われる場合が多いです。医師が入院と決めたのに看護師から
入院は無理と言われることもあります)


過去に、
(徘徊癖(散歩癖だけれども戻ってこれない)のある)
このような方の成年後見人をしており、
救急搬送され、(ある病院へ)入院となったケースがありましたが、
この病院からの退院要請は非常に強く、
(入院の必要性、病状いかんにかかわらず)
有無を言わせない感じで、退院を迫られたことがあります。
医者、MSW、看護師数人に囲まれ、とにかく退院しろ
という対応でした。
この病院では、
医師より看護師の意見の方が優先されていたと思います。
(拘束や、薬物対応をしないという意味では良い病院ではありますが)


一時の精神病院への転院なども考えられますが、
もともとその入院している病院は、精神の診断をしておらず
(入院した原因が肺炎で精神疾患ではありませんでした)
受け入れ先確保の問題もあり、それもできないとなります。


そうなると、
(家政婦を雇うような経済的余裕はありませんでしたので)
施設等(治療も含め対応が可能な)退院先が確保できるまで、
成年後見人(もしくはその事務員)が付き添いせざるを得ません。
実際、この時は付き添いをしました。


その間は、ほとんど他の仕事はできず、
寝不足も含め、つらかった記憶があります。


幸い、いろいろなところ
(ケアマネさん、老人ホーム紹介センター、包括等)
に協力をいただき、数日で退院先が見つかりましたが、
徘徊の程度、状況や病院によっては、
このようなことになるかもと覚悟をして
対応する必要があります
(病院がこちらの事情をくんですこしは協力してくれるだろう
などという甘い考えはまったく通用しないことがあります)。


こういうことが予測できる場合は、すぐ家政婦の準備が
できるかどうか検討し、退院を迫られた場合の対処を
事前に講じておく必要があると痛感しました。


(なお、MSWの人を中心に、こちらの事情も考慮して、
退院先を探すなど、対応してもらえる病院もあります)



追(最近の雑感)
認知症の方に対する)
病院の退院要請は、非情な感じがしますが(しましたが)、
(十分な治療ができなくても)自宅等へ戻るという選択肢も
長い目でみたら、(たとえ、それで寿命を縮めたとしても)
結局よかったという場合もあると思います
(本人の希望がそうではればなおさら)。
入院継続して無理に治療しようとすると、
点滴を抜いてしまうなどの防止のため、身体拘束をする場合があり
入院自体が認知症を悪化させる要因でもあり、
それで急激に認知症を悪化させてしまいます。
肺炎等入院の病気は治ったが、
認知症が極端に悪化し、また廃用症候群で寝たきりになってしまった
ということにもなりかねません。
本人にとっては、早々に退院してよかったという場合もあると思います。
入院で無理に肺炎を治療した結果、
寿命は延びたが本人のQOLを極端に下げてしまった。
病院の退院要請により早々に自宅に戻らされて肺炎の治療は
十分にはできなかったが、QOLは下がらなかった。
長い目で見て、あきらめも必要か。