司法書士とくの日記(ブログ)

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血の気が引く抵当権抹消(司法書士ねた)

住宅ローンなどの抵当権抹消登記


抵当権設定した際の
抵当権設定契約証書に
「年月日、本契約は解除した。
抵当権者〇〇 〇〇、代表取締役〇〇印」
と記載され、それを抵当権抹消登記の
登記原因証明情報とするケースがあります。


「登記識別情報」が発行される前は、
抵当権設定登記の際、
抵当権設定契約証書(原因証書になります)に
年月日登記済として法務局の印が押され、
それが抵当権設定の登記済証となっていました。


この登記済証となっている
抵当権設定契約証書には、
法務局の年月日登記済の印が押されていますので、
設定された抵当権がその受付年月日、受付番号で
特定されているのですが、
登記識別情報が発行されるようになった以降は、
登記原因証明情報として添付した
抵当権設定契約証書には、
法務局の年月日登記済の印が押されていません。
ので、設定された抵当権登記が特定(表示)されていません。


ですから、
この(法務局の年月日登記済の印が押されていない)
抵当権設定契約証書に
「年月日、本契約は解除した。
抵当権者〇〇 〇〇、代表取締役〇〇印」
と記載して、
これを抵当権抹消の登記原因証明情報とする場合は、
このままでは、抹消すべき抵当権が表示されて
いないということで登記原因証明情報にはなりません。
(登記済証の時代と異なることになります)


これで補正になり、
オンライン申請で、この(適格性のない)
登記原因証明情報をPDFで添付していた関係もあり、
登記の取下げを余儀なくされたことがあります。


この登記済証となっていない抵当権設定契約証書を
抵当権抹消登記の登記原因証明情報とする場合は、
「年月日、本契約は解除した。
抵当権者〇〇 〇〇、代表取締役〇〇印」
にプラスして、
「本契約で設定した抵当権は、
年月日受付第〇〇号抵当権である」旨の
記載が必要になります。
(もしくは乙区順位番号が記載されてあれば大丈夫です)
金融機関側でここまで記載してくれている
ことはまずありません(司法書士の方で記入する必要があります)。


住宅ローンなどがからむ取引(売買)で、
連件で、このような抵当権抹消が入っている場合、
「取下げ」なんてなると血の気が引きますので、
注意が必要です。


過去ブログ
ドキドキ感
http://d.hatena.ne.jp/tokucyan-siho/20120524
司法書士の悲哀
http://d.hatena.ne.jp/tokucyan-siho/20120222
待つ待つ待つ
http://d.hatena.ne.jp/tokucyan-siho/20090116