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後見制度支援信託

後見制度支援信託
http://d.hatena.ne.jp/tokucyan-siho/20150820


親族後見人が管理する
預貯金等の流動資産
1200万円など(基準は裁判所による)を超えている場合


親族後見人が管理する
被後見人(本人)の一定の財産を
銀行に信託をして、
横領を防止しようとするこの制度
(裁判所の監督は、主に後見人からの報告や
通帳等のコピーのチェックによるため、
事前に横領を防止することは困難。
このように信託し物理的に横領をできなくする
制度が有効)


被後見人(本人)の財産を守るための制度ですが、


親族後見人によって、この制度に対する
思いが異なり、


ケースによっては、なかなかむずかしく
スムーズに進まないことがあります。


「すべての定期預金を解約しないといけないのか」
「外貨預金は?」


基本、定期預金は解約し、信託(金銭信託
することになります。
が、


裁判所の運用としては、
「がちがち」のものではなく、
ある程度の親族後見人の
(信託しない)手元管理預貯金は
認めており(その額は裁判所やケースにより異なり、
おおむね200万円〜300万円ぐらいが多いと思います)、
その範囲内であれば、(解約しない理由にもよりますが)
柔軟に対応してもらえると思います。


その際、専門職後見人の意見が考慮されます。


「保険は?」
保険は解約する必要はありません。


「株式は?」
国債は?」
投資信託は?」


株式、有価証券、投資信託などは、信託に適さない
財産とされています(売却、解約、換金は求められていません)が、
その額が多くなると(例えば1000万円を超えるなど)、
(売却、解約、換金をして信託しないと)
その後見自体が(後見制度支援信託の対象とならず)
専門職後見人に交代や、
後見監督人を就ける案件になる可能性があります。


(親族後見人の手間について)
すでに親族後見人が就任している継続案件の場合、
基本、お金を動かしてもらう(信託する銀行へ振込してもらう)のは、
親族後見人になります。


(なんらかの理由で親族後見人ができない場合や、
権限分掌がなされている場合は、
専門職後見人がする場合もあります)


したがって、お金を動かしてもらうため、
親族後見人が、まだ
金融機関に後見の届出をされていない場合
それをしてもらう必要が生じます。
後見の届出の一般的な必要書類としては、
1、通帳(カードがあればカードも)
2、登記事項証明書
3、親族後見人の運転免許証、保険証などの「本人確認書類」
(もしくは印鑑証明書と実印)
4、親族後見人のあらたな銀行届出印
になります(金融機関によって異なる場合があります)。


(ただし、
後見の届出をするのが望ましいとは思いますが、
今回の「振込のみ」であれば、
後見の届出をしなくても、被後見人の銀行届出印、
登記事項証明書、親族後見人の本人確認書類などで、
振込できる場合があります。定期預金等の解約も同様。
金融機関によって異なる)


また、信託した銀行では専門職後見人が
届出されていますので、
信託後、専門職後見人が辞任した後、
後見人の変更手続きをしてもらう必要があります。
必要書類は、前掲の後見の届出と同じです
(登記事項証明書は専門職後見人が辞任した旨の記載のあるものが必要)。
この辺が親族後見人の方に手間をかける部分になります。


(親族後見人にとってのメリット)
親族後見人にとって嫌なことばかりではなく、
メリットもあります。


専門職後見人が関わることにより
財産や収支が整理され、
財産管理等についてアドバイスをもらえます。
いろいろ不明な点や不満に思っていることを
専門職後見人に伝えると、
それに対してなんらかの解答を得られ、
それが今後の後見業務にとって有効なことがあります。


また、管理する財産がシンプルとなり、
管理がしやすくなります。
家庭裁判所への報告事務の作業量が軽減されます。


(裁判所)
http://www.courts.go.jp/vcms_lf/210034.pdf




なお、どの銀行に信託するかは
親族後見人の方に、こちらから情報を提供し、
選んでもらうことになります。
現在、信託できるのは4行のみになっています。
(専門職後見人の立場からは、
すべて電話、郵送のやり取りのみ、保険証などの本人確認書類は不要
ということで〇菱〇〇〇信託銀行が比較的やりやすいのですが・・・)
親族後見人の方は、近くに店舗があるかどうかで
選ばれる場合が多いです。