司法書士とくの日記(ブログ)

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年金(未支給年金)

私が成年後見人をしている方がお亡くなりになり、
死亡届の提出が今年最初の仕事になりました。


(以下、事例、事実はすこし変えています)
昨年の12月31日に
病院から容態が悪化したという連絡があり、
今年の1月5日にお亡くなりになりました。
1月5日の夜中午前2時30分頃、
病院から「心電図がフラットになりました」
という電話があり
(病院は、前もそうだったが、
確定するのは医者しかできないからか、
はっきり死亡の旨は言わない)、
翌日、病院で死亡診断書を受取、
住所地の役所に死亡届を提出しました。


成年後見人に就任して4ヶ月ぐらいになります。
病院代が支払えず、市長申立で後見人に就任、
親族との面談、年金等、財産調査を経、
その後、生活保護の申請をし、やっと保護が
受けられるようになり落ち着いたと思った矢先に
亡くなられました。


この方、
1年半ぐらいの年金が未請求・未支給であったため、
年金請求(遡及)をし、その年金が、3ヶ月か4ヶ月後の
平成26年1月か2月に振込まれる予定でした。
(支給年金については生活保護での返還対象)
(お亡くなりにならなければ福祉事務所へ返還する予定でした)


しかし、お亡くなりになったのが、
この年金が振込まれる前でしたので、
この年金は、もし、同一生計の遺族がいない場合、
支給されることはありません。
年金事務所への死亡届や振込口座の凍結が
間に合わず、振込まれてしまった場合は、
年金の返納対象となります。


年金は死亡月まで支給されるのですが、
その分につき、
死亡後に振込まれる(予定の)ものは、未支給年金となり、
同一生計の遺族(配偶者、子など)がいた場合、
その方の固有の財産となります。
死亡後に振込まれてしまった場合でも、
相続財産とはならず、遺族からの未支給年金請求により、
遺族が受け取るべきものとなります。
相続放棄をしても受け取ることができます)
http://d.hatena.ne.jp/tokucyan-siho/20170519


未支給年金を受け取る同一生計遺族がいない場合で、
タイムラグにより振込まれてしまった場合は、
(受け取るべき遺族がいないので)
返還しなければならなくなります。


今回のケースは、
年金事務所への死亡届、口座の凍結が間に合わず、
振込まれてしまいました。
しかし、幸い、同一生計と思われる遺族がおられましたので、
その方に未支給年金の請求をしていただく予定です。
(これで葬儀代が確保できます)
振込まれた年金はその遺族にお渡しすることになりますが、
未支給年金の請求できる遺族と相続人は同一ではなく、
口座からの出金手続については注意が必要です。


年金は、2ヶ月に1回の後払いなので、
死亡した場合、本来、支給されるはずであった年金
(死亡月までの年金)が、
同一生計の遺族がいない場合は、
必ず支給されない月が生じ、
今回のように1年半分ぐらい
遡及請求している場合、その振込手続を
待っている間(通常、3ヶ月ぐらいかかる)に
死亡した場合、(その1年半分の年金が)
まったく支給されないというのは、
なんとなく不公平な感じはする。
(年金とはそういうものだと言ってしまえば
そうだが)


一人暮らしのご老人は多いので、
(同一生計遺族がおらず)
支給されない未支給年金は多いだろうと思われる。