司法書士とくの日記(ブログ)

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象と蟻

破産管財人から
免責は無理なようなこと言われました」
とがっかり肩を落とし、
げっそりした感じで事務所に来られた。
(食事がのどを通らないということだ)


破産申立をしたが、リストラによる退職で、
ある程度の退職金があり、また、
浪費があったので管財事件となった方。


1回目の管財人との面談は付き添ったが、
2回目以降は、本人のみが管財人事務所へ
行っている。
浪費については、事実を包み隠さず明らかにし、
その上で、真摯に反省をしていると思われるが、
やはり浪費があるということで、そのような対応
になったのだと思われる。


管財人の立場上、厳しい態度で臨まれるのは、
理解できる。


しかし、
管財人は国家権力をバックにしており、
(管財人が象だとすると、破産者はアリぐらいの
力関係か)
その管財人から「免責はむずかしい」
と言われると、破産者は、なにもできず、
免責は許可されないと思い込んでしまう。
そのショックは相当なものである。
その辺は、もう少し理解があってもよいのでは
ないかと思う。


落ち込み方があまりにもひどかったので、
(自殺でもされると大変なので)
すこしでも安心してもらうため、
「免責不許可になるような事例は、
不許可事由が複数あったり、隠していたり、
その程度が著しくひどく、反省の色が見えないような
場合だし、
最終的には管財人ではなく裁判所が判断することになるので、
過度に心配しないように。
万が一、免責不許可になったとしても、高等裁判所
抗告ができますから。
もし、管財人から具体的な免責不許可相当の意見書が
出てきたら、
それに対して言いたいことがあれば書面を作りますので」
とフォローした。


(昔、あまりにも理不尽なことを言う管財人に
あたったことがあり、
バンバン反論の上申書を提出したことがある)



破産法の目的には、
「債務者について経済生活の再生の機会の確保を図る」
と明記され、
免責不許可事由に該当する場合でも、
「裁判所は、破産手続開始の決定に至った経緯
その他一切の事情を考慮して免責を許可することが
相当である認めるときは、
免責許可の決定をすることができる」と明記されている。
また、多重債務者の救済、解消は国のプロジェクトとなっている。