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会社の債権者保護手続きについて

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公告をする方法 - 司法書士とくの日記(ブログ)

公告をする方法2 - 司法書士とくの日記(ブログ)

 

会社を解散する場合

2か月以上の期間を定めて解散公告(官報公告)と知れたる債権者への個別催告が必要になります。解散公告では最終の貸借対照表の要旨などの決算公告開示は不要。債権者への個別催告を省略することができる二重公告は使えません。

この期間内は原則、弁済が禁止されます。

清算株式会社は、解散した後、遅滞なく当該清算株式会社の債権者に対し、2か月以上の一定の期間内にその債権を申し出るべき旨を官報に公告し、かつ、知れている債権者には、各別にこれを催告しなければならない(会社法499条1項)。清算株式会社は、上記の期間内は、債務の弁済をすることができません(会社法500条1項前段)。しかし、清算株式会社は、その債務の不履行によって生じた責任を免れることができないため(会社法500条1項後段)、上記の期間内であっても裁判所の許可を得て 、少額の債権、清算株式会社の財産につき存する担保権によって担保される債権その他これを弁済しても他の債権者を害するおそれがない債権に係る債務について、その弁済をすることができます(同条2項前段)。清算株式会社の債権者(知れている債権者を除く。)であって上記の期間内にその債権の申出をしなかったものは、清算から除斥されます(会社法503条1項)。清算株式会社は、原則として当該清算株式会社の債務を弁済した後でなければ、その財産を株主に分配することができません(会社法502条本文)。

負債が多くない小さな会社で債務超過等はなく、すべての負債を完済することができる場合(ほぼ清算が終わっており残り少額債務のみなど)は、もし、この期間内に弁済したとしても後で問題になることは少ないと思いますが、銀行からの借入金等については、この期間内、(少額であっても)銀行は弁済を受け入れてくれませんので、その分の金利増加を回避するためには、この裁判所の許可を受けて弁済することになります。公租公課についても同様。

 

会社分割

吸収分割

原則、1か月以上の期間を定めて官報公告と知れたる債権者への個別催告が必要になります。もしくは二重公告(不法行為によって生じた債務については個別催告は必要)
分割会社において債権者保護手続きが省略できる場合(承継会社は省略不可。承継会社は全債権者に対して必要)
ただし、分社型(物的分割)ではなく分割型(人的分割)の場合は省略不可*

*分割型分割(人的分割)

分割対価である承継会社の株式を直ちに分割会社の株主に剰余金の配当として分配。剰余金の配当の際、分割会社につき減資が必要な場合がある(減資は、会社分割とは別途の手続きとなる)。

債権者が分割会社へ請求できる(権利行使できる)次の場合になります。これは分割会社は承継会社から承継会社の株式などの正当な対価を得ているというのが前提になっています(事業の純資産額等を検討。ただし、100%子会社への分割の場合は対価なしの場合あり)。

1、債務が一切移動しない場合
ただし、〇〇〇業務の分割(包括的移転)で、(権利関係だけ移動して)一切の債務が移動しない例はあまりないと思われる(細かい債務も含むので)

2、特定の債務が移動しない
この債権者へは個別催告が不要となる。原則、官報公告は必要
ただし、この辺は、(移動しない)債権者側からは事前開示書面、分割契約書などを見ないとわからないので、銀行などの大口債権者がある場合などは事前説明は必要と思われる

3、分割会社が併存的債務引受をした場合
併存的債務引受(重畳的債務引受)ということは、承継会社へ債務移動はあるというのが前提
債務者が分割会社と承継会社の2社となり連帯債務となる

債権権者側からするとこれに合わせて契約書を作り直したり、担保関係の手当が必要だったりする場合があるかもしれないので、やはり債権者への事前相談、了承は必要か(特に銀行など大口債権者がある場合)

「分割会社は、承継会社が承継する一切の債務につき、併存的債務引受をする。」

分割会社が、承継会社(新設会社)に承継させる債務につき併存的債務引受をする場合(分割後も分割会社に対して債務の履行を請求できる場合)は、債権者保護手続は不要である(会社法第810条第1項第2号)。ただし、会社法第763条第1項第12号に掲げる事項についての定めがある場合(分割型)は、債権者保護手続は省略できない(会社法第810条第1項第2号括弧書)。承継債務で併存的債務引受をしない債務がある場合は、債権者保護手続きは必要。連帯保証する場合も基本的には同様*

*分割会社が、承継会社に承継させた債務につき、その債権者との間で連帯保証契約を締結した場合には、当該債権者との間では債権者保護手続をする必要はないが、不法行為債権者やその他の知れていない債権者との間では、事実上、連帯保証契約を締結することはできないため、不法行為にかかる債務をも承継させる場合において、一切の債権者保護手続を省略することは、会杜分割手続の瑕疵となりかねないことに注意する必要がある(商業登記ハンドブック 第3版 548頁)

 

分割会社に残る債権者は異議を述べることができない(当該債権者については債権者保護手続き不要)

分割会社の催告をしたことを証する書面の文言一部「別紙のとおり、異議を述べることができる知れている債権者全員に対し各別に催告したことを証明します。」もし異議を述べることができる債権者がいない場合は、次のような証明書(上申書)を作成します。「・・・当社には、異議を述べることができる知れている債権者は1名もありませんので、ここに上申いたします。」

分割契約書の内容次第
移動する債権債務財産等をある程度明確にしないとわからない
一般的には、会社分割のスキームを組む際は、債権者への事前説明、債権者の事前承諾を取得しておくことは重要となる。

省略できる場合(分割会社に請求できる場合)でも、主な取引先、銀行などの大口債権者に対しては(詐害行為を疑われず今後も良好な関係を続けていきたい場合は)事前説明は必要なのではないだろうか。

 

分割会社において、公告等一切の債権者保護手続きが不要となる場合(物的分割の場合)

1、分割によって承継する会社(設立する会社)に承継される債務が一切ないこと

2、分割によって承継する会社(設立する会社)が一定の範囲の債務を承継するが、当該債務のすべてについて分割する会社が併存的(重畳的)に債務引受を行うこと

 

分割会社では原則、債権者保護手続き不要とし、例外的に必要と考えた場合は次のとおり

分割会社で債権者保護手続きが必要となる例外
1、分割後、分割会社に対して債務の履行を請求することができない分割会社の債権者がいる場合
2、分割会社の株主に承継会社または設立会社の株式を剰余金の配当として分配するとき(いわゆる人的分割の定めがある場合)