司法書士とくの日記(ブログ)

司法書士業務、マラソン、その他

保佐から後見

平日は夜8時過ぎぐらいから走っています。

距離は4キロ~6キロぐらい

暑くなってくると多量の汗が出ます。

体が熱をもって、サウナにはいっているような感じになります。

多量の汗をかくのは体に負担がかかっているようで、(入浴後しばらくすると)疲れでひどい眠気に襲われます。

 

さて、話はまったく変わって(まだ余談)

専門職後見人は親族から嫌われがちですが、

(稀に)仲が悪かった親族同士が、専門職後見人という共通の敵(目の敵)ができ、協力して対抗していく過程で(関係が改善され)仲が良くなったりすることがあります(仲良くいっしょにやって来て説明を求められたりします)。嫌われる副効果?・・・

本人にある程度財産があり、親族(兄弟姉妹など)にあまり財産がない場合、兄弟姉妹については法的に(お互い)扶養義務があるとはいっても、後見の場合、いっしょに住んでいない、今まで扶養関係にあったことがない場合は判断がむずかしく、(ケースバイケースですが)どうしても扶養はしない方向で考えることになります。本人の意思が確認できる場合は、できるだけそれに従うことになりますが、確認できない場合は(客観的に)本人に不利益にならないようにしていくことになります。

民法第877条 直系血族及び兄弟姉妹は、互いに扶養をする義務がある。

民法第879条 扶養の程度又は方法について、当事者間に協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、扶養権利者の需要、扶養義務者の資力その他一切の事情を考慮して、家庭裁判所が、これを定める。

 

後見業務をしていると、遺産分割の協議に、成年後見人等(代理権のある保佐人、補助人含む)の法定代理人として関与することがあります。

通常、成年後見人等の法定代理人が関与する場合、

原則、本人の法定相続分は確保する(しないといけない)ことになっています。

ただし、遺産分けには個別の事情があり、例えば遺産が不動産のみという場合は、形式的に法定相続分の確保にこだわっていると遺産分割ができなくなったり、逆に不利益を被るようなケースも出てきます。(確認できる場合は本人の意向をふまえ)臨機応変な対応が必要となります。

降って湧いたような遺産(不動産) - 司法書士とくの日記(ブログ)

 

(遺産分割ではなく)例えば、

親族と被後見人の共有となっている不動産を、親族の事情で売却しなければならなくなった場合、この場合は、売却代金という現金になるので、被後見人の持分の分(現金)は被後見人のために確保しなければなりません。(親族の要求により)売却代金につき親族がその持分より多く取得し、被後見人の分が少なくなるということは(世間一般、家庭裁判所が納得するような事情がない限り)許されません。

 

さて、(本題)

今般、当方が保佐人になっている方が所有(ご親族との共有)している不動産を(いろいろな事情から)売却する必要が生じました。

しかし、保佐人(私)には不動産を売却する代理権がありません。

保佐開始申立のとき、ご本人はある程度、判断能力があり、

(同意を得られる)必要最小限度の代理権の付与となっています。

ご本人に不動産売却の判断能力があり、ご本人が適切に動けるのであればよいのですが、判断能力がない場合、もしくは不安がある場合、どうするか?

(当方保佐人のままで)家庭裁判所に申立をして代理権を追加で付与してもらう方法があります。ただし、これにはご本人の同意が必要となります。

保佐開始の際も、申立によりご本人の同意を得た上で必要に応じて代理権は付与されます。同意がない場合はもちろん付与されませんが、(同意があっても)必要がないと判断されるものも付与されません(代理権の必要性要件については保佐は不要、補助は必要と解されているようですが、実際、審査の際、申立のときに必要性がないものは家庭裁判所の判断等で除かれたりします。保佐と補助の差なんて診断書記載での判断で微妙な差です)。

それでは、ご本人から同意を得るためにはどうするか

具体的には、ご本人に説明をした上で了承してもらい同意書にサインしてもらうことになります。

(ケースによりますが)家庭裁判所が直接、本人が同意しているかどうか確認することもあります。

この方、保佐人に就任してから、長年が経過しており、

認知症が進み、現在、こちらの問いかけに対して反応することができなくなっています。ですから同意の意思を確認することができません。自分の名前を書くこともむずかしくなっています。

このような場合は、保佐ではなく後見相当になっていると思われるので、医師の診断書を取得して、後見相当であれば、あらためて後見開始の申立てをしていくことになります。

この申立てはあらためての後見開始申立になりますので、一から後見開始の申立てをするのとまったく同じ書類が必要となり(本人情報シート、診断書、戸籍、住民票、保佐を除く登記されていない証明書、親族の意見書、財産目録、収支予定表など)、後見開始の審判がされた後も、保佐終了(保佐事件を閉じ)、(新たに)後見開始で、家庭裁判所へ報告、一からいろいろなところへ届出が必要となります。

保佐人と同じ人が後見人に就任するにしても、代理権追加するのとは雲泥の差の事務作業が必要になります。ですから補助や保佐から後見相当になっても、必要性がない限り、あらめて後見開始申立をすることはあまりありません。

ただし、後見開始になると、保佐・補助の場合の(必要となったときの)その都度の代理権追加(どのような代理権を追加するか(その文言を含めての検討)、本人の同意を得られるかどうか、などの検討・その都度の申立)が不要となるメリットがあります。

代理権(追加)付与の申立 - 司法書士とくの日記(ブログ)

 

どこまで? - 司法書士とくの日記(ブログ)