本人確認書類
旅券(パスポート)について、月報司法書士に次のような記事がありました。
「・・・令和2年(2020年)2月4日以降発行のものは所持人記入欄が無くなり、住所を記入できなくなっています。これにより犯罪収益移転防止法上の本人確認書類や商業登記における添付書類としての本人確認証明書としては使用できない取扱いになっていますが、不動産登記規則第72条第2項第1号に変更はありませんので、本人確認情報作成時における本人確認書類として引き続き使用できることにご留意ください。」
以上
旅券(パスポート)については、令和2年(2020年)2月4日以降発行のものは住所の記載欄がなくなったので、本人確認書類として使用できない場合がある。
司法書士が本人確認情報を作成する際の1点でよい本人確認書類としての旅券(パスポート)については、住所がなくても使用可能(ただし、有効期限内のもの)。
ということ
(ただし、住所は印鑑証明書などで確認しますし、本人確認情報の作成については、他の書類を用意いただくこともあり、本人からの聴取、面談場所、状況なども関係し、旅券(パスポート)の場合でも、それのみで本人と確認している訳ではありませんが・・・)
その他
例えば、本人限定受取郵便
本人限定受取郵便を受取る際の本人確認書類として、
特例型(不動産の登記申請で登記済証や登記識別情報を添付・提供できない場合の(いわゆる)「事前通知」の際、利用されるもの)の場合は、住所の記載のない(記入欄のない)日本国旅券(パスポート)は使用不可になっています。
ただし、特例型の場合は、健康保険証1点などでもOK
本人限定受取郵便(特例型)の本人確認書類
公的証明書 1点
(具体例)
運転免許証、 日本国旅券(パスポート)(所持人記入欄が設けられており、かつ、住所が記載されているものに限ります。)、個人番号カード、健康保険証 等
このように住所の記載のない日本国旅券(パスポート)は、(司法書士等の)「本人確認情報」作成の際の提示としてはOKだが、事前通知の本人限定受取郵便の本人確認書類としてはダメになっています。
なお、本人限定受取郵便の基本型の場合(司法書士のセコム電子署名パスワードの郵送はこれになっています)は、顔写真付き公的書類1点として日本国旅券(パスポート)は住所の記載がなくてもOKになっています。
本人限定受取郵便には、クレジットカードの受取などに利用される特定事項伝達型というものもあります。本人限定受取郵便の中では、これが一番厳しくて顔写真付きのものに限られており、特例型と同様、住所の記載のない(記入欄のない)旅券(パスポート)はダメになっています。
特例型は、郵便局から本人限定受取郵便が送られてきている旨の通知書が届き、郵便局窓口で受取るか、自宅へ配達か、どちらか選べます。基本型の場合は、受取が郵便局窓口のみになります。
例えば、法務局での遺言書保管
運転免許証やマイナンバーカードなどの官公庁から発行された顔写真付きの本人確認書類が必要になります。
旅券(パスポート)については、省令では、「氏名、生年月日の記載のあるものに限る」となっており、特に住所の記載があるものとはなっていません。ですから本人確認情報作成時と同様、(有効期限内のものであれば)住所記載欄のないものでも大丈夫と思われます。確認事項は、氏名、生年月日、住所となっていますが、別途、住民票(本籍、戸籍筆頭者記載のもの)が必要書類になっており、これで住所の確認はできるのだと思われます。
追(ちなみに・・・)
健康保険証(国民健康保険被保険者証、後期高齢者医療被保険者証など)については、令和2年(2020年)10月1日より、本人確認等を目的として医療保険の保険者番号及び被保険者等記号・番号の告知を求めることが禁止されており(告知要求制限)、本人確認書類として健康保険証の写しを預かる場合には被保険者等記号・番号等をマスキングなどする必要が生じたりしています。国民年金手帳に記載されている基礎年金番号も(前から)告知を求めることは禁止されてます。ただし、介護保険被保険者証については対象にはなっていません(マスキング不要)。被保険者記号・番号が個人単位化されたことに伴い、個人情報保護の観点から・・・ということですが、この辺は私の理解の及ぶところではありません。