司法書士とくの日記(ブログ)

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視点が異なる

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税理士の先生から

 

メールで、

 

2階建ての建物で、

それが登記簿で1階と2階に分かれていて

区分建物になっているのだが、

これは何のメリットがあるのか?

 

区分建物になっているものを

一つの建物に登記する費用はどれぐらいかかるか?

 

という質問があった。

 

前提となる背景がまったくわからないので・・・

 

区分建物にするメリットは、
登記簿上、独立した建物になりますので、
別々に処分できるということです。

区分建物を一つにする登記については、専門は土地家屋調査士になるので、知り合いの土地家屋調査士に、どのような場合にできるかどうかも含めて聞いてみます、と、とりあえず回答

 

後でよくよく聞いてみると、

土地は父所有

1階部分は、父が住んでいて、父所有

2階部分は、息子夫婦が住んでおり、息子所有

父の相続の時の相続税で、「小規模宅地の特例」が使えるかどうか

登記上、1階と2階で、それぞれ区分建物(専有部分)になっている。

区分建物になっている場合、小規模宅地の特例の同居要件に当てはまらず、

適用が受けられないということ。

この適用を受けられるかどうかで、かなり相続税額が異なってくるよう。

「区分建物で登記しなくてもできたはずなのに」

「今からでも一つの建物に登記を直したい」

ということであった。

 

建物の表示登記をする際、相続税のことまで考えてはされていないのだろう。

土地家屋調査士からすれば、1つの建物で共有なんかにするより、二世帯住宅で、きちんと別々の建物として登記した方がはっきり区別でき、別々に処分もできてよい。

税理士からは、はっきり区別されると、相続税の小規模宅地特例適用のための「同居」とみられないので不都合。

専門が違えば、見る視点も異なってくる。

 

土地家屋調査士に確認したところ、
(複数の区分建物の専有部分を、1つにする場合)
物理的に壁を壊したり、(増築等で)くっつけたり
しないのであれば(登記簿上だけ変更の場合、合体ではなく合併の場合)、
所有者が異なる場合はできないということでした。

(物理的にくっつけた場合を合体、物理的ではなく登記簿上の変更の場合を合併(例えば、独立した建物であったのを主たる建物の附属建物とした場合など)というようです)

もし、合併で一つの建物にする場合は、先に父と息子で持分移転するなどして、1階と2階の所有者を同じにする必要があります。