司法書士とくの日記(ブログ)

司法書士業務、マラソン、その他

後見人の報酬

成年後見人(司法書士、弁護士、社会福祉士など)
の報酬は、
被後見人(本人)の財産から、
家庭裁判所の審判によって付与されます。


それでは、
被後見人(本人)の財産が乏しい場合
成年後見人の報酬を捻出できるだけの財産がない場合)
どうなるか。
被後見人の生活を害してまで報酬付与がなされる
ことはありませんから、報酬は「なし」になります。


それでは、
成年後見人は
無報酬で業務の遂行(ただ働き)を強いられるのか。
実際、そういう場合もあると思います。
(報酬を期待できない案件を
覚悟の上受託したことはあります)


しかし、次の制度があり、
ケースによっては、これを利用すれば、
報酬を(ある程度)確保できるようになります。


1、市などの自治体の成年後見制度利用支援事業
審判で付与された報酬につき、一定の要件を満たせば
市などの自治体から、報酬を助成してもらえます
(ただし施設の場合月18,000円、在宅月28,000円までなど上限あり)。


財産が乏しい場合でも、家庭裁判所に対し、
市へ成年後見制度利用支援事業の
報酬助成を申請する旨(要件にあてはまる)
を添えて申立をすれば、
報酬付与の審判をしてもらえます。


ただし、市長申立の案件に限るとか、
市長申立や、生活保護者でないとダメとか
条件が各自治体によって異なります。
(この制度自体がない自治体もあるようです)


市長申立でも、その報酬助成の申請をする市の
市長申立に限るとなっている市もあります。
ですから、他の市の市長申立案件で、その市に住所移転した場合、
(通常、住所地での申請になりますので)助成が受けられなくなります。
(ただし、住所地特例の適用で移転前の市に申請できる場合があります)


また、基本、被後見人の申請による
成年後見人が代理申請する)ことになっていますので、
被後見人が死亡した後では、申請が認められないケースもあります。
(幸い私の周りの市は死亡後でも認められています)


2、公益社団法人成年後見センター・リーガルサポートの成年後見助成基金
(財産が乏しく報酬が見込めないため)
報酬付与申立をしていない期間について、審査を経た上、
原則月1万円を限度に助成されます
(助成決定後に家庭裁判所で報酬付与の審判を受け、助成金交付)。
被後見人死亡後でも申込できます。


私の受託案件は、多くが1の制度の利用が可能なので、
ありがたく利用させてもらっています。
ただ、この報酬助成の市での(財産、収支などの)チェックは
家庭裁判所やリーガルサポートの(定期の報告)審査より
はるかに厳しいです(いろいろな書類の提出を求められます)。