司法書士とくの日記(ブログ)

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派生していろいろ(司法書士しかわからないかも記事)

不動産業者から、
不動産取引の登記費用の見積もりを依頼されました。


不動産は、
敷地権表示された普通のマンション(〇〇号室1室)です。
所有者(売主)は不動産会社になっています。


買主(個人)さんは、
居住用不動産として
そこに住むことになるということなので、
住宅用家屋の減税が適用されるかどうか確認するため、
(FAXしてもらった)
不動産の全部事項証明書(謄本)を見てみると・・・
(住宅用家屋の減税は、築年数によって適用されない場合があります。
あまり古い建物だと適用されません。
この築年の確認は不動産の全部事項証明書(謄本)で確認します)



「新築年月日の記載がない・・・?」


よく見てみると、○○番から区分となっており、
もともと、区分建物ではなかった建物
(マンションの一棟の建物)が
後で区分(登記上、1部屋ごとに独立した家屋番号をつけ、
1部屋1部屋(室)を一つずつの独立した建物にする。
通常の分譲マンションはそうなっています)
されたことがわかりました。
そこで、閉鎖されているであろう区分前の建物の
閉鎖事項を登記情報提供サービスで確認すると
「新築年月日」がありました。
区分された場合、新築年月日は区分建物に
引き継がれ(移記され)ないのですね。


なお、さらに詳しく登記事項を見てみると、
この不動産(区分建物 ○○号室)、
不動産会社が建物(一棟の建物)を取得
(所有権移転登記)した「後に」区分され、同日敷地権
されています。
ということは、この取引で必要な「登記識別情報」
(もしくは登記済証)は、
区分建物となる前の建物の分が必要となることが判ります。
(建物が区分された場合、その区分された建物につき、
新しい登記識別情報が発行されるわけではありません)
そして、土地については、敷地権前に取得しているので、
土地の登記識別情報も必要となります。
土地の登記事項も登記情報提供サービスで確認しました。
この辺は注意が必要です。


さらによく見ると、
土地について、不動産会社が取得した後、
(区分前、敷地権前)に合筆がなされており、
「合併による所有権登記」がなされています。
この場合、土地の登記識別情報は、この合併による
所有権移転登記の分か、もしくは合筆前のすべての不動産
の登記識別情報かになります。


この不動産
区分前、敷地権前につけられた抵当権と、
区分後、敷地権後につけられて抵当権があり、
抵当権抹消の際に添付すべき抵当権の登記識別情報が
どういうものになるかも注意が必要です。
「区分後・敷地権後」は、区分建物の分だけになりますが、
「区分前・敷地権前」は、土地の分も必要になります。
さらに合筆されている点については、
合筆後の(残存する)土地の分の登記識別情報だけで
かまわないとなっています(合筆によって閉鎖された土地の分は不要)。


さらにさらに詳しく見てみると、
所有者の不動産会社の所有権移転の原因は、
「信託財産引継」となっています。
区分前、敷地権前の建物、土地の登記事項では、
信託銀行から、不動産会社が移転を受けており、
信託登記抹消となっています。
この辺は、取引とは関係ありませんが、
興味があるので、いろいろ調べました。
(あーしんど)


一つの見積依頼から派生して、
いろいろなことが学べますが、切がありません。


上記記事は、次の順で登記された不動産についてでした。
1、不動産会社が、信託銀行から、
(区分されていない)一棟の建物と土地2筆を取得(原因 信託財産引継)
2、抵当権設定
3、土地につき合筆、合併による所有権登記
4、建物区分、敷地権
5、抵当権設定
6、今回、1室を分譲(取引)