司法書士とくの日記(ブログ)

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一人で遺産分割協議?一人で協議ができるか?

A名義の不動産がある。
Aには妻Bと子Cが一人いる(一人っ子)。


Aが死亡し、
(その不動産につき)遺産分割しない間に
(登記をしない間に)
妻Bが死亡
相続人が子Cのみとなったケース


このケース
法定相続の流れとしては、
AからBC(持分各2分の1)へ相続
B(持分2分の1)からCへ相続
という2件の変動があります。
最終的にはCの単独所有になる。


このような(法定相続では2件以上の変動がある)
ケースで
Aから直接Cへ「1件」で相続登記を
申請するためには
(Cが取得する内容の)
Cの遺産分割協議書(決定書)が必要であり
(Cの実印押印、印鑑証明書添付)
それを添付すればできていました。
C一人で(Bの相続人の地位を兼ねて)
自分が取得する内容の遺産分割協議書(決定書)
を作成し、それを添付すれば1件で
登記ができていました。
遺産分割の遡及効によりAから直接Cへ移転したことになる。
http://www.amy.hi-ho.ne.jp/sakai-siho/suujisou.htm


しかし、最近これができないという
法務局が出てきています。


登記研究という雑誌に
このようなケースでは遺産分割協議書か
特別受益証明書がなければ
法定相続通りの2件の申請
(AからBC、BからC)をしなければ
ならないという記事が載りました。
そこから、この遺産分割協議書とは
文字通り2人以上で協議したもので、
権利が一人に帰属してしまった場合は
(その後、協議はできず)
遺産共有関係を遡って解消することは
できなくなるという理屈のようです。


協議ではなく、
いわゆる一人でする決定書方式ではだめということです。
理論的にはわからないではないですが、
今までできていて、
また結局C単独所有になる結果は変わらないので
(たまたま一人になったため複数の登記申請を
余儀なくされ、登録免許税の負担を強いられ)
納得出来ない感は残ります。


一人遺産分割はなぜできないのか?
子(D)がもう一人いた場合は、
CとDで、Bの相続人の地位を兼ねて
協議すればできるにもかかわらず、
(地位を兼ねているという点では同様なのに)
一人の場合はできなくなるとは。


さらに、遺産分割しない間に
Cが死亡し、その相続人甲、乙間で
甲が取得する内容の遺産分割を
した場合どうなるのか?
数次相続として1件で登記はできないのか?


子CDがいた場合でも
例えば、死亡の順番がA、D、Bであり
(Dは配偶者、子おらず)
AからBCDへ相続、
DからBへ相続、
BからCへ相続、
結果、相続人がCのみとなった場合も
同様な問題が生じる。



ただし、
Aの死亡後、BC間で
Cが取得する内容の遺産分割協議がなされていたが、
登記しない間にBが死亡した場合
C一人が作成する遺産分割協議書の内容が
上記のようなBC間で遺産分割したというものに
なっている場合は
問題なくできると思われます。