司法書士とくの日記(ブログ)

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特別代理人

(前ブログの記事)2007.10.12
相続の相談。
相続人の中に未成年の子が二人いる。
未成年の子は、実は亡くなった人からみて、孫で、
代襲相続で相続人となっている。
その未成年の子(孫)に親が一人いる(片親は死亡)。
遺産分割協議が必要だが、
未成年者については親権者である親が法定代理人になってする
(なお、親は相続人ではない)。
しかし、未成年者の子が二人いる場合は、一人しかいない親は両方の
代理人にはなれないのである。
それは、未成年者同士で利益相反するから。
一人しかいない親は一方の子の法定代理人にはなれるが、
もう一方の子については、家庭裁判所
別途、特別代理人を選任してもらわなければならない。
「親なのになぜ片方の代理人にしかなれないのですか!
片方はどうして決めるのですか!」
とお怒りである。
(以上)


この親が再婚をし、
その再婚相手が子と養子縁組をした場合、
親権者が、実親と養親の二人になるから、
それぞれが未成年者の代理人になって
遺産分割できるのではないか?
(特別代理人の選任は不要ではないか?)


この場合もやはり未成年者の子につき
特別代理人の選任が必要となります。


具体例
被相続人甲(平成24年死亡)
配偶者はすでに死亡
甲には子Aがいたが、
Aはすでに死亡している(平成19年死亡、甲より先に死亡)。
AにはBとの間の子CDがいるので(AとBは婚姻している)、
このCD(甲からみて孫)が甲の代襲相続人となります。
ただし、CとDはともに未成年者。
未成年者のCとDの親権者はB(実親)ですが、
このBは(A死亡後)再婚し、その再婚相手と
子のCDは養子縁組をしている。
この場合は、CDの親権者は、B(実親)と
養子縁組した養親とで、実父母の場合と同様、
共同親権になります。
(Bと養親は婚姻関係にあるため)


共同親権」なので、
遺産分割協議をする場合、
共同して代理人となるため、
(各別に親権を行使することはできず、
共同でしなければならない)
やはり一人の代理人にはなれるが、
もう一人の未成年者の代理人にはなれないのである。
CDのどちらかに特別代理人の選任が必要となります。


例えば
CについてはBと養親が代理(共同親権
Dについては、家庭裁判所で特別代理人選任


利益相反って。親が子に不利なことを
するはずないじゃないですか!」
「法律って変なことになってますね!」
とやはりお怒りである。


家庭裁判所への
特別代理人選任の申立の際には、
遺産分割協議案を提出し、遺産分割の内容も
チェックされます。
特別代理人が選任される未成年者につき、
不利な内容となっていないかどうかが
チェックされます。


なお、法定相続でする場合は
協議をしませんので、
特別代理人の選任は必要ありません。